26 / 31
新任は救世主!?
そんな休日を
四人で過ごし、
明日からまた
学校が始まる。
国光先生は
また
李雄先生を
追いかけ回すのだろうか……?
そんな不安を
抱えながら
迎えた月曜日の
全校集会で
新任の先生が
紹介された。
名前は薄野和基。
この時は、仲良く
なるとは思いもしなかった。
産休の保健医の
代わりに来た
薄野先生は
まぁ俗に言う『イケメン』で
女子達は一発で
虜になった。
あの国光先生も……
これで李雄先生への
ストーカーが
収まればいいけど……
当人の
李雄先生は勿論
俺や龍也や桜香も
国光先生の
行動には疲れた。
そんなある日、
龍也が生徒を庇い
怪我をして
保健室に行った。
それを聞いた俺は
学校だと
言う事も忘れ
保健室へ走った……
そして、保健室の
ドアを思いっ切り開けた。
薄野先生が
居るのも忘れて……
バン!!
「おや、新庄君
いらっしゃい」
薄野先生が
至って普通な事に
びっくりした。
「そんなに慌てて
どぉしたの?」
龍也が心配で
急いで来たとは
言えないし……
俺達の関係を
知られる訳にも
行かない……
どぉ説明しようか
悩んで居ると
龍也が言った。
「私の心配をして
来てくれたんですよ」
ぁ!! ぉぃ!!
龍也!?
そんな事言ったら
変に思われるだろう!?
「九重先生の心配ですか」
ほら、疑問に
思われてるじゃん。
「失礼ですけど
お二人の関係は?」
ゃっぱ
そぉなるよな……
「恋人ですよ」
言っちゃったよ……
薄野先生
引いてないかなぁ?
「あぁ、成る程」
ぇ? 薄野先生?
何故納得してるんだ?
「驚かないんですか?」
流石に、龍也も
不思議に思ったみたいだ。
「新庄君が
保健室のドアを
開けた時の
慌て方は
教師と生徒の域を
超えてると
思ったんですよ」
俺はよっぽど
慌ててたらしい……
「薄野先生は
同性愛を
気持ち悪いと
思わないんですか?」
龍也の質問は尤もだ。
「別に偏見はないですよ
恋愛なんて
個人の自由ですし」
今時珍しい
答えが聞けたなぁ。
「そぉ言って
頂けると嬉しいです」
龍也が
綺麗に笑った。
「俺も嬉しいです」
素直な感想だ。
三人で話してると
開けっ放しのドアから
桜香と李雄先生が
入って来た。
「大丈夫ですか?」
「途軒君に栢山先生
心配して
来てくれたんですか?」
「えぇ、
生徒達が
『九重先生が
怪我したらしい』
って言ってたので」
李雄先生が
答えてくれた。
「四人は
仲がいいんですね」
黙って俺達の
会話を聞いてた
薄野先生が
楽しそうに言った。
「ぁっ、
もしかして
栢山先生と
途軒君も
恋人同士
だったりします?」
ぇっ!?
薄野先生の
勘がいいのか、
二人が
わかりやすいのかは
判らないけど
あってる……
「よく分かりましたね」
桜香が
感心したように言った。
「ゃっぱり」
薄野先生も
あったったのが
嬉しかったのか
声が弾んでる。
「入口に立ってないで
中に入って下さい」
と言って手招きをした。
幸いだったのは
保健室近くの
廊下に誰も
居なかったことだ。
「ぇぇと、じゃぁ
お邪魔します」
李雄先生が
後ろ手で
ドアを閉めて
桜香と一緒に入って来た。
李雄先生と桜香は
ベッドの上に
並んで座った。
「こぉして話すのは
初めてですね」
二人が座って
薄野先生が口を開いた。
そぉ言えば
薄野先生と
まともに話すのは
初めてかもしれない。
「そぉ言えば
そぉですね」
桜香が答えた後、
色んな話しをした。
俺達四人の
馴れ初めや
国光先生のこと。
龍也と桜香が
料理上手なこと等。
結局、
五時間目はサボった。
龍也と李雄先生は
この時間は
授業が無かったらしい。
教師が三人も居るのに
誰も咎めないんだから
笑えるよな。
流石に、
六時間目までは
サボれないけど……
なんせ、
李雄先生の
授業だからだ。
五時間目の
終わりの
チャイムが鳴った。
「六時間目は
俺の授業だから
このまま一緒に
教室に行くか」
李雄先生の言葉で
俺と桜香は
椅子から立った。
「じゃぁ、私は
まだ薄野先生と
お話してましょう」
ぇ……?
「次も授業ないので」
笑顔で爆弾を投下された。
俺は内心
焦りまくりだ。
「授業ないなら
ゆっくりしてって下さい」
薄野先生にまで
爆弾投下された……
保健室を三人で
出た後、俺は
凹んで居た。
「透、元気出して」
桜香に励まされた。
「放課後、また
会えるだろう?」
李雄先生まで……
「出来るだけ早く
授業終わらせるから
それまでの辛抱だ」
きっと
李雄先生のことだから
本当に早く終わらせて
くれるんだろうけど
やっぱり、心配だ。
しかし、俺の
心配など関係なく
授業は始まる。
李雄先生や桜香が後で
授業内容を
教えてくれるから
聞いてなくても
まぁ問題はない。
ということで
六時間目は半分
放棄することにした。
そして、宣言通り
李雄先生は
通常より十五分も早く
終わらせてくれた。
「大事な用事が
あるから今日は
早めに終わらす」
李雄先生が
そぉ言うと
教室のあちこちから
不満げな声が
聞こえて来た。
主に女子が不満げだ。
李雄先生と龍也は
校内で俺達と
歳が近いことから
男女問わず人気者だ。
時々、俺達の
恋人なのになんて
桜香と話してたりする。
さてと、
保健室に行くとするか。
桜香に声を掛けて
二人で保健室に向かった。
こっそり出て行く俺達を
李雄先生は笑顔で
見送ってくれた。
本来ならまだ
授業中の為静かな
廊下を桜香と二人で
歩いて保健に向かう。
俺達の教室は三階っ
保健室は一階。
その距離がもどかしい。
心なしか足が
早くなってたらしい。
「そんなに
慌てなくても
大丈夫だよ」
桜香に指摘された。
冷静で居たつもりだが
体は正直みたいだ。
「悪い、
歩くの早かったか?」
歩調を桜香に
合わせながら訊いてみる。
「何時もより
ちょっとだけね」
ぁはは……
苦笑いしか出てこない。
「桜香は
薄野先生のことどぉ思う?」
「先生としては
いいと思うけど
多分、人をからかって
楽しむタイプっぽいよね」
「透はどぉ思う?」
ぅ~ん……
正直、よく分からない。
読めないっつーか……
「読めないタイプ?」
「ぁぁ、成る程
確かに何考えてるか
読めないタイプかもね」
あっさりと肯定する
桜香に少しビックリした。
話してる内に
保健室に着いた。
ガラガラ
何も言わずに
ドアを開けた。
「ぉゃ、早かったね」
薄野先生は
今がまだ授業中なのに
普通に俺達を迎えた入れた。
「途軒君、まだ
授業中のはずでは?」
龍也は少し
焦った様子で
桜香に聞いた。
「栢山先生が
心配性の透の為に
他のクラスより早めに
終わらせたんですよ」
ニコニコしながら、
楽しそうに
桜香が答えると
ホッとしたような
苦笑いのような
顔をした。
「まぁ、立ち話も
疲れるだろうから
取り合えず
二人共座ったら?」
言われた通り、
桜香と並んで
ベッドに座ったら
薄野先生が
ココアを渡して来た。
「有難うございます」と
お礼を言って、
二人分ココアを
受け取り一口含んだ。
ガラガラ
保健室のドアが開いて
李雄先生が入って来た。
「ぉゃ、いらっしゃい
栢山先生も
座ったらどぉですか?」
何処からか
椅子を持って来て
李雄先生に
座るように促した。
「あ、はい
ありがとうございます」
校内で屋上以外の所で
四人揃うのは中々ない。
職員室は他の教師が
沢山居るし、
教官室は他の生徒も
出入りするから
校内でゆっくり
四人で集まれるのは
屋上くらいだった。
あそこも人目を
気にしながらだけど……
椅子を極力
俺達の方に寄せて
座った李雄先生。
「栢山先生も
何か飲みますか?」
こぉして
気が利く所も
薄野先生が
人気の理由の
一つなのかもしれない。
「コーヒー・紅茶・ココアに
緑茶・ほうじ茶・煎茶
何でもありますよ?」
どれだけ
品揃えいいんだ……
「それは凄いですね」
俺達の思ってる事を
龍也が代弁した。
「じゃぁ……紅茶で……」
李雄先生も
迷ったみたいだ。
俺達の時は
何も聞かずに
ココアを出されたから
気にしなかったが、
此処まで
揃ってるって
凄いよな……
本当に保健室か……?
「薄野先生って
お茶好きなんですか?」
ぅぉ!?
桜香直球だなぁ
「学生時代に
嵌まってしまってね」
おどけたように
肩を竦めながら
薄野先生は答えた。
ぃゃ、幾ら
嵌まったからって
職場にまで
わざわざ持ち込むって
ある意味凄いな。
「今度、紅茶の
美味しいいれ方
教えて下さい」
また桜香は……
「ok
いいよ」
薄野先生まで……
「ありがとうございます」
李雄先生は
何も言わないけど
いいんだろうか?
龍也も何も言わないし
まぁいいか……
保健室で
そんな話しを
したのが一ヶ月前。
今はというと
恒例となった
龍也ん家に集まる
(一人住んでるけど)時に
薄野先生も
加わるようになった。
ともだちにシェアしよう!