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第5話

こうして、俺と深弦は恋人となった。 それはもう、2、3年前の話。 今日は、俺の家に深弦が引っ越すことになっている。 とても、楽しみだ。やっと、深弦とひとつ屋根の下で暮らせると思うととても楽しみだった。 ピンポーン 家のチャイムが鳴った。 急いで、玄関のドアを開けると、深弦がいた。 「すみません、待ちくたびれました?光さん」 付き合いだして間もない頃、深弦は“白原さん”から“光さん”に呼び方が変わった。 最初は恥ずかしかったがもう慣れた。 「待ちくたびれたよ。 せっかく朝早くに起きたのに…。」 「あはは。光さん、朝苦手ですもんね。」 「いいから、早く荷物置け。 必要なもの買いに行きたい。」 「え?それって、デートですか?」 「バッ!デートじゃねーよ!」 「でも、顔真っ赤ですよ?可愛い。」 「う、うるせー!とっとと行くぞ!」 ーーー 「光さん、少し欲しいものがあるんで 別々に行動しましょー」 「何を買う気なんだ?」 「えへへー、秘密です。」 そう言って、深弦は俺の元を離れてどこかに行った。 ーーー 買い物を終えた時には、もう空が暗くなっていたから、外でご飯を食べた。 食べ終わり、深弦が人が少なくて綺麗な場所を知っているという場所へむかった。 そこは、自分たちの街を一望できる、展望台だった。夜の街は、ライトアップされていて、キラキラと輝いていた。 「すげー。俺、この場所初めて知った。」 「気に入ってもらえて満足です。」 景色に見とれていると、深弦がかがみ込んだ。 「光さん。俺、何回も女の人と付き合ったりしたけど、ここまで持ったことは一度もないです。ずっと好きだと思ったのも、結婚したいって思ったのも。」 「え?ちょっ、どーゆーこと?」 「光さん。俺、貴方が好きです。 1度だけ、言います。」 「俺と、結婚してください。」 そう言った、深弦の手には小さな箱に入った、指輪が入っていた。 「それって…。」 「買い物の時に買いました。ちょっとしたサプライズをしたくて。驚かせちゃってすみません。どうしても、今日が良くて。」 涙が止まらなかった。すごく、単純に嬉しかった。 「え?…あ。泣いちゃいましたか?」 「な、泣いてない…。」 「いや、泣いてますよ」 「だから、泣いてな…ッ…!」 「ちょっと、黙っててください。」 「だッ、から!急にキスはやめろ。心臓が持たないから。」 「それで?返事は?」 「聞かなくてもわかるだろ!」 「えー、分かりませーん。 ちゃんと言ってくださーい」 「ッ…!こちらこそよろしくおねがい…し…ます…。」 「光さん、誘ってます?」 「はぁ?さ、誘ってるわけねーだろ! ここ、外だぞ?!」 「まぁ、いーや。この指輪受け取ってもらえますか?」 「受け取る以外の選択肢なんてどーせねーんだろ。」 ーーー そのとき貰った指輪はネックレスとなって 今も、俺の首に掛かっている。 ~END~

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