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「あれ、ところで玲二さん?そんなにゆっくりしてていいんですか?確か今日はー…」 「ああ、そうだよっ!デートだっつーのに、お前……お、お前がッ…痛ぅぅ」 今日は待ちに待った美香ちゃんとのデート 何回か2人でご飯に行って、『付き合って欲しい』と意を決して言った俺の言葉に頷いてくれた彼女 双方の仕事が落ち着いた頃合いを見て晴れてデートの約束に漕ぎ着け、デートが決まった日からずっとワクワクしっ放しで、昨日だって 俺がどれだけ楽しみかを説いていたのに、だ! なのに、そんな事お構い無しでさっきまでガスガス腰打ち付けて、今だって他人事のみてぇにシレッと言いやがってッ! 「玲二さん、存分に楽しんで来て下さいね」 お前に言われなくても、楽しんで来るわっ! ムカつく笑みを俺に放つニキに腹立ちつつも、美香ちゃんの待つ、待ち合わせ場所に痛む体にムチ打って急いで身を向けた 「はっ、…はっ、美香ちゃん、ごめん遅れてっ!」 「ううん、全然待ってないから、大丈夫だよ」 俺を見てフワッと優しい笑顔で迎えてくれた美香ちゃん そしておもむろにバッグからハンカチを取り出すと俺に、はいっ と、手渡してくれて…… かッ! (か、可愛いぃいいッ!!) うわわっ、なんてイイ子ッまさに女神! 毒舌狼とは真逆だよ! あいつから繰り出される俺の尊厳や存在を、根底から否定するあの言葉 そんな言葉を浴びせられて傷つきまくった心を救ってくれるような笑顔が、これまたすっげぇ可愛い! 俺の腕にスッポリ入っちゃうぐらい小さい背にサラサラな髪からまた良い香りが癒してくれる なにより、心が綺麗で…… (こんな子と一緒にデートって……ヤベェッ、テンション上がる!) デート中も相変わらずニキの力は絶大で、運を味方に付けた俺は、怖いもの無しだった 予約無しでも並ばず入れた人気イタリアン店 しかも来店10000人目記念で特別コース料理がタダ 映画館でもスクリーンが1番見やすいど真ん中だったりと 何から何まで良い事尽くめ それはデートの最後もそうで… 「今日楽しかったね、玲二くん!」 「……美香ちゃん、あ、あのッ」 綺麗な夜景が俺の背中を押す様に、自然な流れで彼女を引き寄せる 顔を近付かせると、俺の行動を察した美香ちゃんが目を閉じた (き、キターーッ!これってオッケーって事だよな!) あとは柔らかそうな唇に触れるだけ…… まさに完璧なデートの締めくくり と、いう所で… 『玲二さん…』 「ッ!!!!」 低いエロボイスが耳許に響いた

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