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第11話

「ありがと、祐樹。つき合ってくれて」 「いや……おれも、したかったし」  まだ快楽の余韻の残るまろやかな声で祐樹が言った。 「そっか、またしような」 「え……、うん…」  落ち着いてくると今まで感じていなかった羞恥が込みあげてきて、ふたりとも口数が少なくなった。このまま寝てしまうのがいい気がする。 「おやすみ、祐樹。いい夢見てな」 「孝弘も。おやすみ」  電話を切って、シャワーを浴びた。  ふしぎな興奮だった。  受話器越しのセックス。小さな機械を通して、東京と北京に離れたふたりで快楽を分け合うなんて。いや、分け合うというより共有したのか?  こんなことをしたのは初めてだ。そこまで切羽詰って欲しい相手もいなかったし、女の子相手にはこんなことは言い出せない気もする。  国際電話でなにしてるんだか。  外国人の電話回線は盗聴されてるという話を思い出した。公安が盗聴していたら呆れているだろうか。  まあ大使館員でもない民間企業の会社員は平気だろう。  祐樹の北京入りまであと2週間ほどだ。またしたい気もするけれど、会えたときの楽しみにとっておくことにする。  初めてのシチュエーションで興奮はした。でもやっぱり声だけでは物足りない。現実に触れた肌の熱さをもう知っているから。  ……にしても、舐めてほしいとか。  いままで一度も言われたことのない台詞を聞いて、ありがとうございますという気分だった。  ああ、録音しとけばよかったなんてことも思いつく。祐樹が知ったら怒りそうだけど。いや、実際にはやりませんけど。  今度会えたときには祐樹が泣くまで舐めたおそうと心に決めて、孝弘は部屋の電気を消した。  完     こんな夜もありますwww  まだ続きます!  次はいよいよ、10年前の祐樹の恋人が登場(*^^*)  憂鬱に出てきた、あの人とのお話です。

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