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第10話
「もう硬くなった?」
「うん、あっ…なってる」
「じゃあ濡れてきたら先のほう、親指で弄って。くびれのとこも好きだよな? ぐりぐりしてみて」
「やっ、そんなの、知らない」
孝弘の指示とおりに祐樹がじぶんを慰めているのを想像すると、かーっと頭のなかが熱を持つ。
出発前夜の祐樹の乱れた姿を思い出して、知らず知らずのうちに孝弘の腰が揺れる。本当はじぶんが触ってめちゃめちゃに溶かしてやりたいけど。
「そう? じゃあ今度、教えてあげるよ。とろとろになってきた?」
「…うん。すごく、気持ちいい」
祐樹の艶めいた声を聞きながらいまの姿を想像すると、背徳感のような疾しいような気持ちが興奮を加速させ、快感が背筋を駆け上がってくる。
「孝弘、なんか…、すごく、熱い……どうしよ」
「そのまま続けて。気持ちいいだろ、俺が触ってるみたい?」
「ん。声だけなのに、なんか、混乱する…」
祐樹が素直に反応してくれるから孝弘もうれしくなって、ぐんぐん漲っていく。じぶんの熱を手のひらに感じながら互いに触っているような感じがする。
「乳首も触って?」
「う、ん。あっ、あ……」
短い息遣いとかすかな声が聞こえる。びくびくと跳ねる体が見えるようだ。
「指でつまんで、つぶすみたいに押してみて」
「ん、孝弘、あっ……」
孝弘と同じように、祐樹がじぶんの声や息遣いで昂ぶっていると思うと、さらに興奮が増してくる。
「そこ、どんな感じ?」
「固く、なってる。孝弘に舐めて、ほしい」
一瞬、孝弘は黙り込んだ。
「…キタわー、いまの。マジで舐めたい」
「ほんと? 孝弘も、いい? 気持ちよくなってる?」
めちゃくちゃいいよ、と火がつく熱さでささやいた。
「あ、おれも。…もう、いきそう……」
「うん、俺もあとすこし。一緒にいく?」
「いいよ、いきたい。孝弘、名前呼んで」
「祐樹、…祐樹、好きだよ、かわいい、大好き」
「たかひ、ろ。あっ、あ、いい…も、来て」
「もっと擦って、気持ちいいな。ほら、一緒にいこ」
互いの荒い息遣いを聞きながら達した。手のなかに快楽の証が放たれて、緊張していた体がゆるやかに弛緩する。
大きく息をつくと、受話器の向こうからも満足そうなため息が聞こえてきた。
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