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トルクとの歩調

「で結局、鳳凰于飛って何だったんだろう?」 「ふふふ、さきちゃん  自分のは確認した?」 ステータスを可視化してトルクと見比べた。 種族 特殊属豚科人〔成体〕 称号 白闘王の伴侶    世界を穿つ者    世界の母    白闘王に愛されし者    神の愛し子    鳳凰于飛  Lv. 102 HP  15000 MP  29000 スキル 暴食 愛玩 蹄の渾身一撃 痛覚耐性 衝撃耐性 水耐性 嗅覚 言語理解 苦痛耐性、心理耐性 格闘 怒りの鉄槌 風牙 愛を貫く者〔愛に殉ずる者〕意思疎通 解読 特殊スキル 羽化 ゆびきりげんまん 擬態 僕の場合は、山際の時のように剥奪とかじゃなく、消失してた。 なんか、無かったことみたいな感じだった。 もう一つ気になったのは、トルクはカンストしたレベルに∔がついてた。 レオハルトよりはるかに多いスキルや称号にも驚いた。 「やった!   やっぱり、私の伴侶はさきちゃんだったね!」 なんでこんなにすぐ伴侶が入れ替わってるんだろ? もう、レオハルトは僕の隣に立つことが無いって分かっていても、すぐに割り切れるものでも無かった。 「私の国まではまだ大分あるし、観光しながら行くから、じっくり私を知ってね」 そう言うと、街道へ出るためにトルクは歩き出したけど、さすがに足場が悪すぎて歩きにくいってなって、白豹に獣化したと思ったら、僕を背中に乗せて走り出した。 「重くない?  ねぇ、僕も走るよ」 「大丈夫だよ、それに背中に咲ちゃんのお尻があると思うと、違う意味でも頑張れるから」 意味が分かって、恥ずかしくなったのは言うまでもない。 空間魔法も使えるんだって初めて知った。 そっかだから部屋が大抵何もないベッドだけなんだ。 自分の財産は常に持ち歩くみたいな、そんな感覚なんだって。 そう言って僕に白いフードコートを出してくれた。 「さぁ、さきちゃんの髪を隠さないとね。  黒い髪は希少どころか、この世界では神の色ですからね」 「そんな大袈裟な」 「いいえ、本当です。  攫われて、性奴隷にでもされたらどうするんですか!  私は自分の伴侶を守る為なら、万全、いや、それ以上のことをしますよ」 「トルク、敬語!」 「あ!」 「ふふふ、ね、これから敬語を使うたびに、なにかペナルティがあったらよくない?」 「え、あ、う~ん  慣れもあるんで、難しいなぁ」 「じゃぁ、逆に敬語を使わなかったら、ご褒美って言うのはどう?」 ちょっとだけイタズラ心が持ち上がって、頑張れたらキス一つと言ってみた。 「二言は無いですね?」 「無いよ、ゆびきりげんまん」 約束をした。 嘘はつかないでって、レオハルトとした約束を思い出した。 嘘つき。 時々こうやって、落ち込むけど、今は隣にいるトルクと旅をすることを楽しもうと、気持ちを切り替えるようにした。 「街道沿いに、街が点在するから、その街々で宿泊して向かおうと思うんだ。  今のこの世界の人々の暮らしを、さきちゃんに見て欲しいから。  国に行けば、国政を私も手伝わなければいけないだろうと思うし、できればその横で一緒に手伝って欲しい」 繋いだ手から、真剣な告白だって伝わった。 途中の川でお水を飲んだり、道端の草花の名前を教えてもらったり、トルクの授業は凄かった。 今の国々の関係が少し怪しい事、そんなときにあらわれた僕を各国が狙っていた事。 治水が必要不可欠なのに、色んな国でまだまだ遅れていることとか、宰相をやってただけある。 そして、ここ最近の魔力溜りが色んな所に点在してるという報告も上がっていたそうだ。 「それなら、トルクがいないと困るでしょ?」 「困るかもしれないけど、どうでもいいな。  だって自分の国とか、さきちゃんとか、そっちのが大事だし。  これでも結構強いから、普通の魔物とかなら十分戦えるしね」 「宰相ってもっとなよなよしてるんだと思ってた。」 「私も留学時代は格闘競技で名を馳せたんだよ。  レオハルト、っと、あ、」 「大丈夫、言って  そして、トルクの事を教えて」 「獅子と豹でその時は二分していた。  もう、200年ほど前の事だけどね。」 その時の若いトルクを想像して、きっとモテたんだろうなって思った。 心が少しずつ、トルクに傾くのが分かった。 こうやって、忘れて行っていつかは誰かといるレオハルトを見ても笑えるのかなって思った時、僕の隣に立つのはトルクなんだろうって想像できた。  

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