1 / 16
第1話
※R18 無理やり、監禁、暴力など鬼畜な描写があります。苦手な人は読まないでください※
******************
【あるヤンキーに恋人ができるまでの話】
「じゃあ……ちょっと触るよ」
「ん……んぐぅっ!」
最初に一言断りを入れ、抵抗しようと暴れる航太の腹の辺りへと手を滑らせれば、大きく体を仰け反らせ、それからガタガタと震えだす。白い肌が薄紅へとサアッと染まったその理由 が、嫌悪なのか羞恥なのかは判断に迷うところだった。
「航太の肌、スベスベしててきもちいい」
「ううっ、ふぁへんあ!」
「なに言ってるか分からないから続けるよ」
「ぐ、んぅっ!」
掌で腹を撫で回し、「細く見えるけど、筋肉ちゃんとついてるな」と、感心したように告げてみるけれど、それどころでは無いのだろう……もう駄目だといったように航太は何度も首を振った。
これは合図。彼が首を横へと振れば、この特訓は終わりを告げるはずだった。最初に交わした約束を……自分がきちんと守りさえすれば。
「んんぅっ!」
「ダメ。いくらなんでも早すぎるから、今のはナシね」
ルールを勝手に変更し、伊織が再び肌へと触れれば、ぐぐもった航太の悲鳴が静かな部屋の空気を揺らした。
いくら体を捩ろうとも、逃れることなどできやしない。
ここは伊織の自宅地下にある防音設備の整った部屋で、突き抜けになった広い空間には、グランドピアノとキングサイズの大きなベッド、それから、バーカウンターやルームシアターも備え付けられ、大人の隠れ家といった仕様になっていた。
仕事で多忙な両親は、ほとんど家には帰らないため、現在は伊織が自分の部屋のように使用している。静かなほうが集中して勉強できると言っておけば、優秀な子供の頼みを不在がちな親が拒めるはずもない。
そして、部屋のほぼ中央に置かれた一人掛けの重厚なソファーへと座らせている男の名前は航太といい、腕を背後で一つに括られ、ソファーの脚の部分に足首をそれぞれ括り付けられているから、彼がどこかのマンガに出てくるヒーローでもない限り、この拘束から抜け出すことは不可能に近い話だった。
それに、たとえ拘束が解けたところで、この部屋からは出られない。なぜなら、外へと通じる厚い扉は、暗証番号を入力しなければ開かないように設定してある。
ともだちにシェアしよう!