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第15話

 *** 「ん……うぅ」 「航太、目が覚めた?」  耳に馴染んだ低い声は、いつも側にいる伊織のものだ。なにか、長くて怖い夢を見ていた気がするが、靄がかかってしまったみたいに航太の意識は混沌としている。 「あ……なに?」  ひどく掠れた自分の声に、驚いた航太が瞼を開けば、心配そうにこちらを見つめる伊織と視線がぶつかった。 「俺は……」 「体は辛くない?」  額に大きな掌が触れ、そのまま髪を撫でられる。いつもならば勝手に体が拒絶反応を示すはずだが、どういうわけか思ったように動くことができなかった。 「あっ」  しかも、触れられた場所が熱を帯び、自然と吐息が漏れてしまう。 「俺、変……だ。おかしな夢、見た気がするけど……」 「夢?」 「ああ、おまえが……なんだっけ?」  夢の内容を思い出そうと試みるけれど成功せず、そうこうするうち航太は再び強い睡魔に見舞われた。 「また寝ちゃうの? こんなになってるのに?」 「ん……な…あぁっ」  ペニスを襲った鋭い愉悦に航太は体を戦慄かせる。 「どうする? 俺の恋人になってくれたら、解放してあげるけど」 「な……に?」 「やっぱり返事はいいや。することもしたし、もう恋人な」 「あっ……そこっ」  よく分からないことを言いながら、伊織が股間へ触れてくる。ようやく触れてもらえたことに、強い悦びを覚えた航太は、思考が回らぬ状況のなか、あえかな喘ぎをあげながら、腰を突きあげてもっとと強請った。 「航太、好きだよ。航太も俺が好きだろう?」 「ん……」  伊織が自分を好きと言うから、航太は何度も頷き返す。彼は航太に初めてできた友達だ。だから好きに決まっている。

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