16 / 169

第三章・2

 残された青葉の頭の中は、二人の男性への思いが渦巻いていた。  大切な、大好きな智貴さま。  だけど、智貴さまは。 『解りました。加古を、七浦さんにお譲りしましょう』  僕を、お金と引き換えに手放してしまわれた。  仕方がない、ということは解っている。  だが、頭ではわかっていても、心では割り切れない。 「僕の新しいご主人様は、芳樹さんなんだ」 『18歳の誕生日なんて、まぁこんなもんだ。青葉、こういうの初めてだろ?』  僕に、誕生会を開いてくださった。  楽しかった。 『友達』という存在を、初めて味わわせてくださった。  それには、心から感謝している。  青葉の心に、ある覚悟が芽生えた。  

ともだちにシェアしよう!