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第三章・6

 キスをしながら芳樹は、青葉のパジャマを脱がせていった。  手を這わせ、その肌のきめ細かさに息を呑む。  芳樹は掌で体を温めてあげるように肌を撫でながら、青葉を素裸にした。  パンドラの箱。  開けると、 この世の醜くおぞましい災いが、全て地上に飛び出したという。  だが青葉は、そこにただ一つ残された希望のように美しかった。  思わず手を止め、彼から眼が離せなくなった。  そんな芳樹から青葉は肌を隠すように身をよじり、拗ねた声をあげた。 「あまり、見ないでください」 「あ、いや。綺麗だ、すごく綺麗だ」    ため息をつきながら再びその肌に、髪に手を伸ばした。  ああ、そしてこの身体。  俺が初めて手を付けるのだと思うと、興奮より感激が先に湧きあがった。 「待ってください」 「ん?」 「芳樹さんは、その。脱がないんですか? 僕ばかりこれでは……、不公平です」 「あぁ、そうだな」  青葉の願いに応えて、芳樹は素早く、それでも雰囲気を壊さないように気を付けながら、パジャマの上を脱いだ。  肌と肌とが重なる部分が増え、青葉の心音まで伝わってくる。

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