20 / 169
第三章・6
キスをしながら芳樹は、青葉のパジャマを脱がせていった。
手を這わせ、その肌のきめ細かさに息を呑む。
芳樹は掌で体を温めてあげるように肌を撫でながら、青葉を素裸にした。
パンドラの箱。
開けると、 この世の醜くおぞましい災いが、全て地上に飛び出したという。
だが青葉は、そこにただ一つ残された希望のように美しかった。
思わず手を止め、彼から眼が離せなくなった。
そんな芳樹から青葉は肌を隠すように身をよじり、拗ねた声をあげた。
「あまり、見ないでください」
「あ、いや。綺麗だ、すごく綺麗だ」
ため息をつきながら再びその肌に、髪に手を伸ばした。
ああ、そしてこの身体。
俺が初めて手を付けるのだと思うと、興奮より感激が先に湧きあがった。
「待ってください」
「ん?」
「芳樹さんは、その。脱がないんですか? 僕ばかりこれでは……、不公平です」
「あぁ、そうだな」
青葉の願いに応えて、芳樹は素早く、それでも雰囲気を壊さないように気を付けながら、パジャマの上を脱いだ。
肌と肌とが重なる部分が増え、青葉の心音まで伝わってくる。
ともだちにシェアしよう!