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第四章・2
口づけをやめ、芳樹がまるで余裕のない表情を向け、早口で訴えてきた。
「悪ぃ、青葉。出る。も、一回。もう一回だけ、内に出していいか?」
一体、どうしてしまったんだ。私は。
まるで覚えたての少年みたいに夢中になって。
セックスなど、ただの遊びのはずだ。
溺れるのは、スマートじゃない。
そう思いながら、あまたの人間と寝てきたはずなのに。
ただ自然のままで愛し合う。
だが、それを無意味だとは思わない。
今、私は幸せなんだ。それだけは、確か。
それは、青葉も同じだった。
胸に渦巻いていた憤りや不安、迷いや恐れが消えてゆく。
彼の熱にすっかり溶かされ、流されてゆく。
ぐぃいッ、と芳樹の腰が深く強く捻じ込まれてきた。
「あ! ッあ! あッ、はぁ、はぁッ、あぁああ!」
彼の腰が叩きつけられるに併せて、声をあげた。
応えるように、一つになれるように。
逞しい芳樹の腕が、しっかりと青葉を抱きしめた。
一分の隙もないくらい強く強く抱きしめるとともに、命のかぎりを吐き出した。
自分の体温とは違う熱さが、一気に体内に注がれる感覚。
青葉は、もう今夜何度目になるか解からないその感覚を、歓びをもって受け止めた。
この身体が、熱い。
外からも内からも、芳樹さんの熱でいっぱい。
そして心も、魂までも熱く熱く溶けてゆく。
「あ、はぁッ! あぁあ!」
ひくひくと痙攣する青葉の下肢を、芳樹は感じていた。
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