25 / 169
第四章・3
激しい交歓を終えた後は、互いの身体を優しく撫でながらとりとめのないお喋りをした。
その髪を梳きながら。その頬を撫でながら。
「大人の儀式は、どうだった?」
「……刺激的、でした」
「安藤さんでなくって、悪かった」
「いいんです、もう」
僕の新しいご主人様は、芳樹さんなんですから。
そう、心に、身体に刻み込んだつもりだった。
「青葉、それは違う」
芳樹は青葉の頬に手を当て、ハッキリと言った。
「私は君を、使用人として迎えたつもりはないよ。対等なパートナーとして、振舞って欲しい」
パートナー、と青葉は繰り返した。
「そう。青葉の鋭い感性は、私の事業のヒントになる。そして、これが一番大事なことだが」
そこで芳樹は言葉を切って、大切に口にした。
「私の伴侶となって欲しい」
青葉は、ぽかんと口を開けた。
伴侶と言えば、あれだろう。
夫婦、ということだろう。
「え! いや、それは! いきなりそんな!」
「無茶は承知だ。ただ、よく聞いてくれ!」
ともだちにシェアしよう!