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第五章・5
「お父様。ちょっと、お父様!」
廊下をずんずん歩く父の後を、芳樹はばたばたと追った。
「清美! 寝室に布団を敷きなさい!」
「旦那様?」
慌てて清美が寝床の用意をしている間、義人は芳樹に言い放った。
「今から、加古くんの身体を調べさせてもらう。話はそれからだ!」
「お父様! それと布団と、どういう関係が!?」
「臥所を共にする、と言うことだ。邪魔はするなよ!」
「冗談はよしてください!」
そこまでで、芳樹の目の前は襖でピシャンと閉ざされた。
青葉は、声も出せずに怯えていた。
ただ棒のように突っ立っていると、義人にいきなり足払いで倒された。
「わあぁ!」
「私は若い頃、柔道をやっていてね」
寝技も得意だった、と義人の顔面がどんどん近づいてくる。
「や、やめてください!」
「静かにしなさい」
青葉の口は、義人の分厚い手のひらで覆われた。
襖一枚向こうからは、芳樹の声が聞こえてくる。
「お父様、御冗談を! ここを開けてください!」
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