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第十二章・7

 青葉は、芳樹の実家を思い出していた。  彼の両親は、自分に好感を抱いてはいないのだ。  そんな青葉の心を見透かしたように、芳樹は言った。 「もし両親が反対したら、私は七浦家を出る覚悟がある」 「僕、僕は天涯孤独の家事使用人で。学歴も無いし、Ωだし」 「そんな些細なことで、青葉の魅力は損なわれないよ」 「芳樹さん」 「はい、と。ただ、Yesと言って欲しい」 「……はい」  言い終わると同時に、青葉は夢中で芳樹に抱きついた。  抱きつき、頬ずり、何度もキスをした。 「おい、風邪がうつるよ」 「構いません」  終いには青葉もベッドに上がって、二人で抱き合いキスをした。  聖なる夜に、二人は永遠を誓った。

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