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第十七章・7
マンションに戻り、芳樹はすぐに青葉を抱いて口づけた。
「すまない、青葉。こんなことになってしまって、本当にすまない」
「いいんです。お兄様に一目会えただけで、僕は充分です」
「青葉……、青葉」
「芳樹さん」
青葉は、体重の全てを芳樹に預けるようにして立っていた。
ふらふらして足元のおぼつかない青葉に、芳樹は異常を感じ取った。
「大丈夫か、青葉?」
「ちょっと、めまいがして。もう、大丈夫です」
顔色が悪いのは、怜のことがあったせいだろう。
「少し、休みなさい。ソファで、いや、ベッドに横になった方がいい」
「平気ですよ。病人じゃありません」
青葉はにっこりと笑うと、心配性の芳樹に可愛いキスをした。
「お兄様に会わせてくださって、ありがとうございました。それから」
それから。
「僕のことを選んでくださって、ありがとうございます」
「青葉」
あたりまえじゃないか、と芳樹は青葉を抱きしめた。
家柄でもなく、資産でもない。
「私は、青葉を選んだんだ」
何があっても、青葉を愛し抜く。
芳樹の決意は、固かった。
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