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第十八章・5
「もしもし。青葉です」
『青葉くん? 熱があるそうだね。大丈夫なのかい?』
「え、あ、はい。もう、慣れちゃいました」
『病気に慣れる、なんて不健康だよ。早く治してしまうといいよ』
「はい。ありがとうございます」
『早く治して、それから正々堂々と戦おう』
「た、戦う?」
『僕はまだ、芳樹さんのことを諦めてはいないから』
返事に迷う青葉に、怜はふふふ、と笑った。
『まぁ、それは置いといて。君を案じる気持ちには、変わりないから』
「ありがとうございます。あの、お兄様も、お体にはお気をつけて」
『ありがとう。では、芳樹さんに替わってもらえるかな』
「はい」
青葉は、携帯を芳樹に渡した。
「戦う、って。何?」
「後でお話しします」
芳樹は不思議そうな顔をしていたが、二言三言電話で話した後、すぐに通話を終えた。
「青葉くんをよろしく、って言われちゃったよ」
「お兄様……」
怜との会話は、青葉にとって素敵なバレンタインプレゼントだった。
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