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第十九章・6
芳樹は、毎日青葉を見舞っていた。
年度末の慌ただしい時期であるにもかかわらず、病院へ通った。
仕事は深夜遅くに、自宅マンションで行い、徹夜する日もしばしばだ。
それでも、せめて一目だけでもと青葉を訪ねた。
だがしかし。
「青葉くんは昨夜から熱が出てね。今日は面会謝絶だ」
主治医の久保が、すまなさそうにそう言うことが多々あった。
たまに会えても、ひどく辛そうな青葉を見ると、励ますどころか涙があふれそうになる。
喋ることもできないほど体力の低下した青葉の手を、握る。
弱弱しく微笑む青葉だが、次の瞬間には苦痛の表情に変わる。
「青葉、愛してる。私は、どんな青葉でも、ちゃんと受け入れているからな」
代われるものなら、代わってやりたい。
それができない現実が、ひどく忌々しく、腹立たしく、悲しい。
青葉の瞳からこぼれた涙を、指でそっとぬぐってあげることが、精いっぱいだった。
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