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第十九章・8

 青葉と怜は一卵性双生児なので、全く同じ型の骨髄だ。  理想的な、ドナーといえよう。  しかも、移植による副作用もない。  だがね、と久保は釘を刺した。 「再発の危険性が皆無なわけじゃない。そこは、承知しておいてくれ」 「解った。青葉、よかったな! 治るんだよ、君は!」 「……青葉くん、寝てるよ」 「あれ?」  疲れやすい体の青葉は、久保の話を最後まで聞くことなく寝入ってしまったのだ。  すっかり軽くなってしまった青葉の体をベッドに整え、芳樹は優しく掛布を上げた。 「今すぐ、彼の双子の兄に連絡するよ」 「そうしてくれ。一刻も早い方がいい」  久保の顔も、久々に晴れやかだ。  芳樹は病室を出ると、通話可能なエリアへ行って怜に電話を掛けた。  希望の光が見えたのだ。  芳樹は、まだかまだかと怜が電話に出るのを待った。  彼からの応答がこんなに待ち遠しいのは、初めてだった。
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