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第二十二章・14
「だが、それで怜くんと一緒になっても、彼を幸せにはできなかっただろうね。我ながら、自分勝手だったよ」
「お兄様は、芳樹さんを抜け殻にしたくなかった。だから婚約を破棄した、とおっしゃっていました」
抜け殻、か。
確かに青葉を失えば、自分は抜け殻同然になっていただろう。
生き別れにしても、死別にしても。
「怜くんには、本当に感謝してるよ」
「僕もです」
二人で抱き合い、まどろみながら話した。
何て、数奇な運命。
そして運命に、翻弄されてばかりの二人だった。
「だけどね、青葉。それを切り開き乗り越えられたのは、君の人徳だと私は思うよ」
「僕は、芳樹さんの力強さだと思います」
思えば、パーティーで安藤さんと会話をしたところから始まった、青葉との縁だった。
「確かに力づくで、青葉を手に入れたからね。私は」
「あの時の芳樹さんは、怖かったです」
ふふっと笑い、青葉は瞼を閉じた。
「でもそれから……、ずっとずっと僕を愛してくれました。僕だけを、愛してくれました」
「これからも、だよ。ずっとずっと青葉を愛するよ」
様々な人の縁が繋がり、二人はようやく愛の巣を手に入れた。
運命の番となった。
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