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第二十二章・13
「出すぞ、青葉」
「はッあ。あぁ、ううッ!」
はい、との声は言葉にならなかった。
熱い芳樹の精が、体内深くまで勢いよく注ぎ込まれたのだ。
その衝撃は予想をはるかに超えており、青葉もまた伴うように二度目の精を吐いた。
芳樹が青葉の上に、倒れ込むように重なってきた。
互いの胸を、腹を、腰を重ねた。
抱き合い、熱を与え合った。
腰の引き攣れが続く中、呼吸を整えていた青葉は芳樹の黒髪を弄りながらかすれた声で話しかけてきた。
「芳樹さん」
「何だ」
「僕を救う為に、お兄様の求婚を承諾なさった時、どんなお気持ちでしたか?」
「青葉を助けたい、死なせたくない。ただそれだけだったよ」
そうですか、と青葉は芳樹に肌を擦り付けた。
「生きてさえいれば、先に楽しいことがある。救いもある。そう考えた」
吐息と共に、芳樹はそう答えた。
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