1 / 4

第1話

「おはよー」 高校生活が始まって約一ヶ月。 持ち前の気さくさと愛想の良さのお陰か、咲良(サクラ)(アオイ)はクラスメイトともすぐに打ち解けることが出来ていた。 「お、咲良ちゃんおはよ」 女の子みたいな名字と名前のせいで、小学生の頃から“ちゃん”付けをされているため、その呼び方を気に止めることも無くなった。 「春輝(ハルキ)、部活決めた?」 「えー別に入らなくてよくね?」 前の席の小林(コバヤシ) 春輝(ハルキ)は、クラスの中でも特に仲のいい友達だ。 仲良くなったきっかけがある訳では無いが、歯に衣着せぬ物言いや、サバサバした性格は嫌いではない。 「でも中学の頃はサッカーやってたんだろ?」 「まぁ、一応…部活はほぼ強制だったし、別に好きでやってたわけじゃないよ」 「あーね」 「部活やるとしたら活動少ないとこか、幽霊部員になるか…」 「だよな〜わかるわ」 やりたいこともない。目標もない。 ただただ毎日を過ごしていくだけ。 俺にもいつか夢が見つかる日が来るのだろうか。 「…まぁ、いいか」 咲良はそうポツリと呟くと、クシャクシャになった入部希望表に【×】印をつけた。

ともだちにシェアしよう!