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1「始まりの日」

 真っ白な天井。  澄んだ空気に混じる少しの薬品の匂い。最初に視界に入ってきたのはそんな「白い」世界だった。  心配そうに覗き込んでいる顔がひとつ。シルエットがぼやけて誰だかはわからない。何か叫んでいるようにも見えたけど、男の耳には何も入ってこなかった。    そしてまた体が重くなり、深い深い谷底に落ちていくような感覚に身を委ねた──

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