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6 変わらぬ日々

 浩成の休みの日、楓真は一日デートに誘われた── 「たまには気晴らしにさ、一日ゆっくり出かけない? 久しぶりにデートしよっ」 「ん…… 今何時だよ?」  早朝に起こされた楓真は不機嫌に瞼を開け、ニコニコ顔で覗き込んでくる浩成を睨む。思いがけず近い距離にある浩成の顔に少しドキッとしながら体を起こした。 「うん、七時、かな」 「何だよ、早くね? 休みでしょ? 俺まだ寝てたい……」  先日の一件の後、気まずくなってしまうのではと心配していた楓真をよそに、浩成は以前と変わらず楓真に接する。むしろあの時楓真から「一緒に寝てもいい」と言われたことで、別々で寝るのは今も変わりはないものの以前より少し距離を縮めてきたようにも感じた。 「わかったよ。あと三十分な。朝飯用意しておくから、また起こしにくるよ。おやすみ楓真」  ふわりと楓真の頭を撫で、あっさりと部屋から出ていく浩成の後ろ姿を眺めながらまたベッドに潜る。 「……何だよ。俺のこと甘やかし過ぎじゃね?」  楓真はドキドキする理由がよくわからないまま、また眠りについた。  その後しっかり三十分後に起こされ、二人で軽い朝食をとる。  楓真がよく夕食を作るとはいえ、浩成もそれなりにちゃんと家事をこなせるようで、休みの日などに作ってくれる朝食も、簡単ながらもバランスの良さそうな健康的なメニューだった。 「浩成君、何気に俺より料理できるんじゃね?」 「そう? そんなことないよ。楓真を見て俺も料理くらいやらないとな、って思って教えてもらったんじゃん。それからやるようになったんだよ…… うん、かれこれ一年くらい前な」 「へえ……そうだったんだ」  一年前と言ったら、当たり前に浩成と楓真が仲良く愛し合い生活をしていたであろう頃だ。今みたいに本当に恋人だったのかもわからず、他人との共同生活をしているようなこんな気持ちではなかったはず。 「なんか、ごめん」 「へ? 何が? あぁそれよりさ、今日はどうする? 俺買い物したいんだよね。服! 服買いたい。あと映画見てプラプラしてさ、夕飯は外で食べよ? たまには外で、ね」  複雑な気持ちの楓真とは違い、楽しそうに浩成は今日の一日の予定についてお喋りをしている。自分によくしてくれる「恋人」の浩成が楽しそうなら細かいことはあまり気にすることもないのかな、と思い直し、二人で一緒に朝食の後片付けをした。

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