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prologue
商店街の路地裏にある小さな時計屋。
じいちゃんの代から続く時代を感じさせる店内には、アンティーク品から今若者に人気のファッションウォッチまで、なんでもござれと言ったところだ。
アンティークや年代物と言えば聞こえはいいが、正直出所が分からないものばかり。油と埃で曇ったガラスのショーケースにずらりと並べば、それっぽく見える。
その中にひとつだけ、特別な品の様にディスプレイされた懐中時計が佇む。
じいちゃんが大切な人から貰ったと言う物。
自動巻の懐中時計だから、こまめに振ったり手入れをしているが、そこらの商品とは違った豪華で煌びやかな装飾は言われなくても値の張るものだと分かる。
売り物ではないがあまりに綺麗なので一応店内には飾っている。しかし今月も売り上げが悪いので、欲しいという客がいるならそれなりの値段で売ってやろう。なんて考えたりもする。
なんてじいちゃんに言ったら叱られる所ではないだろうな。と思いながら、今日もその懐中時計を手入れするためショーケースから取り出した。
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