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第6話

「出たぜ、あいつだ」  ディーグは、剣を指差し、エィウルスに告げた。 「いよいよだな」  ディーグが木陰から立ち上がるのと、男が声を上げたのは同時だった。 「おのれ…!賊が…っ!」  剣を引き抜いた男が、騎士たちに取り囲まれる。  悲鳴を上げて逃げ惑うのは、人間と変わらぬ、女や子供だった。決定的に違ったのは、女の瞳。  その双眸が黄金に輝いていた。  駆け出したディーグはあっさりと女を捕まえると、引き倒す。  剣を引き抜くと、呆然としているエィウルスに向かい、低い声を放った。 「やれ、エィウルス」 「…な、に?」 「殺れってんだよ!狩りを!」  腰を抜かしていた女が、ディーグの足元に齧りつく。 「チッ」  舌打ちと同時に、ディーグがその背中に剣を突き刺した。  断末魔も無いまま、女が絶命する。  その力を失った身体を蹴り飛ばし、泣きじゃくりながら母を求める子供へと、向き直る。  ディーグの思惑を理解したエィウルスは、その肩を捕まえる。 「待て、それは…」 「ガキを残しても、恨みが残るだけだろ」 「ディーグ!」 「煩え!」  制止するエィウルスを殴りつけ、ディーグは叫んだ。 「これが狩りだ!見ておけ!」  悲鳴を上げる子どもの首を、切り飛ばした。  返り血を浴びたディーグは、その頬に飛んだ血を拭う事無く、エィウルスに背を向けた。    気付けば、狩りは終わっていた。  ただの殺戮。  そう、見えた。  エィウルスは、言葉を失っていた。  そして、同じく言葉を発することのないディーグの背中を見ていた。  狩りとは。  これを延々と、続けてきたのか。  何の目的のために。

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