164 / 174

結ぶ(22)

ニールは俺の目元をティッシュで拭き、鼻をかむようにと数枚握らせた。 嗚咽が収まった俺は、こんなことくらいで泣くなんて情けないと思いつつ鼻をかみ、ベッドから抜け出した。 「俊樹っ!」 後を追ってこようとするニールを無視して洗面所に駆け込み、冷たい水で顔を洗った。 目も鼻も赤い。 おい、俊樹。お前一体幾つだ!? 鏡を見ることすら恥ずかしい。 顔を拭いていると、背中からすっぽりとニールに抱きすくめられる。 「ごめん…俊樹が余りにもかわい過ぎて…度を越した。 本当に悪かった。ごめん。」 俺は無言でふるふると首を振った。 イきたいのにイかせてくれなかったのが悔しいだなんて。 そんな理由で泣いたのが恥ずかし過ぎて。 流石にそんなこと言えなくて、俺は黙っているしかなかった。 でも、ニールのことだ。 そんな俺の気持ちなんてきっとバレてる。 その証拠に、俺が泣いた理由を根掘り葉掘り聞き出そうともしないし、俺の頭を撫でる手は『分かってるから』と言っているように思えた。 ニールは暫く俺を抱きしめていた。 俺も抗うことなく、ニールに抱かれてその体温を感じていた。 ニールが遠慮がちに 「俊樹、もう意地悪なことしないから…一緒にベッドに戻ってもいいか? 肌がすっかり冷たくなってる。風邪を引きでもしたら大変だ。」 「嫌がること、しない?」 「しない!!!」 「それなら…」 ニールは俺の鼻先にキスをすると、軽々と抱き上げた。 「初夜のやり直しだな! ちゃんとイかせるから!」 そんな直接的な言葉を言わないでくれよ! さっきまでの自分の痴態が脳裏に蘇って、思わず両手で顔を覆った。 耳まで熱い。 俺はニールと違って経験不足なんだ。 少しは(いたわ)れ!考慮しろ!

ともだちにシェアしよう!