下半身から迫り上がる快楽の波は、全身に巡る毒のようだ。 身体を支える腕も膝も、甘美な痺れに屈してその役割を果たせずにいる。 ぺたんとシーツに頬を埋め、腰はニールに持ち上げられるような格好になっている。 シーツに爪を立て、突き上げられる衝撃に耐えようとするけれど、力の入らないその指は、かりかりとシーツを引っ掻いて滑るだけ。 「あっ、あっ、あうっ、あっ」 貫かれる度に擦れる腸壁は、襞(ひだ)が押し潰されまた膨らんで…を繰り返す。 中も外も、ニールを求めている。 俺の身体は一体どうなってしまったのか。 獣…獣だ。 愛欲を求める…ただの獣だ… 「ひんっ」 突然、胸の粒を摘まれた。 仰け反る背中にキスが落とされる。 隆起した小さな身体の一部を爪で弾かれ弄られる。 こんな所、単なる飾りとしか思っていなかったのに、ニールのせいで少し刺激されただけで、腰が揺れる程に感じる場所になってしまった。 弾みで思わず射精(だ)してしまった。 ぴしゃりとシーツに吐き出されたそれは、青臭い雄の匂いを放つ。 一瞬、身体が硬直した。 あぁ。俺は、男だ。 性の違いをまざまざと突き付けられる。 何も生まれない、何も生まない吐精。 胸がぎゅぅっ、と締め付けられた。 「俊樹…」 ニールの動きが止まり、宥めるような声音が降ってきた。 爪が食い込む程に握りしめた俺の拳の指を1本ずつ外していくニール… 「またロクでもないことを考えていたんだろ？ 俺は男のお前が好きなんだ。 男のお前を心から愛している。 お前も、男の俺を愛してくれてるんだろ？ それの何か問題でも？」 ドヤ顔で言い放たれて、少しでもそんなことを考えていた自分が馬鹿馬鹿しくなってきた。 「…ううん、問題、ない。 ニール、俺を…愛して……」 満面な笑みを浮かべたニールに唇を噛まれて……