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結ぶ(27)

視線を感じてゆっくりと目を開けた。 「あ…起きた…おはよう、俊樹。」 「…ニール?…ん…おはよう…」 ちゅっ、と唇が重ねられた。 ぼんやりしていた頭が次第に回転していく。 カーテンの隙間から薄っすらと光が差し込んでいる。 朝?俺、いつの間に寝落ちしたのか? まだ残る、下半身の甘怠い疲れと違和感。 そうだ…夕べ、散々ニールと愛し合って… 「俊樹、大丈夫か?痛い所はないか? ざっと綺麗にはしたんだが…」 「あ…ごめん、ニール。ありがとう。 痛くは…ない…」 「シャワー浴びたければ連れて行くけど?」 「大丈夫、ひとりで…うわっ」 情事の後の雰囲気が気恥ずかしくて、慌ててベッドから降りようとした俺は膝に力が入らなくて、床に座り込んでしまった。 「俊樹っ!?」 「痛たたっ…足に力が入らない…」 「俺のせいだな。」 ふわりと抱き上げられ、バスルームに運ばれて行く。 もう、抵抗はしない。 ただ、両手で顔を覆ってはいるが…それは俺の精一杯の抵抗だ。 「俺がちゃんと洗ってやるから。」 耳元で囁かれるだけで、昨夜のことを思い出してしまう。 …頷くだけで返事はしない。口を開けば、思いが零れ落ちそうになるから。 頬も耳も熱い。 多分赤く染まってるんだろう。 くっ、とニールの喉が鳴った音が聞こえた。 笑われた? 「俊樹…かわい過ぎて俺はもうどうにかなりそうだよ…」 少し指の隙間を広げて、そっとニールの顔を窺い見た。 目尻を下げて微笑む、俺の愛する男が見えた。 はあっ…イケメン…俺の方こそ、ニールが格好良過ぎてどうにかなりそうだよ。 ニールは俺をバスタブの縁に座らせると 「悪戯しないから、安心して俺に任せて。」 と言って、それはそれは丁寧に、割れ物を扱うように俺を磨き上げていく。 ん? 『今は』って何?何かされるのか? それすらも期待して、俺はニールのなすがままに綺麗に洗い上げられた。

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