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⑪(完)

それから先生は保健室を出て僕の荷物を持って戻ってきた。その間に僕は脱いでいた制服を着終わって帰る準備ができた。 「じゃあ帰ろうか。おいで。」 そういって僕を呼んで先生は保健室の鍵を閉めた。 誰か人が通ったらどうしようと無駄な心配をして具合が悪そうに演技しながら廊下を歩く。気づけば酔いもさめていた。 駐車場までこんな風に歩いて先生の車まで来た。高そうな車だと思ったけれど車のことは詳しくないので黙っていた。それでも、乗ってからは芳香剤の高級感のある香りが漂う車内に思わず、いい匂い、とつぶやいてしまった。先生は聞こえていないのか、聞いていないのか、返事はなかった。 乗っている間、話すことはなかった。僕には興味の無いピアノ音楽が流れていた。けれど、ふと僕が先生を見た時、たしかに先生のズボンが不自然なほど盛り上がっているのを僕は見逃さなかった。

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