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猫殺し 14
「お前・・・何言うてんの?僕以外に触らすの?」
僕は震える声で言うた。
僕が死ぬかもしれんし、コイツが死ぬかもしれんけど・・・もうめちゃくちゃにしたろうかと思った。
一緒に死ねたらそれでもいいとか思ってしまった。
コイツを誰にも触らせたない。
震えながら抱きしめた。
その細い喉に歯を当てて、食い破ってやりたいと思った。
実際歯は当てた。
でも・・・出来るわけもなかった。
嫌や。
嫌や。
「嫌や。他のヤツに触らせんなや。僕だけや・・・」
僕は泣きながら言うた。
鼻水だらけの顔をアイツの首筋になすりつける。
アイツはため息をついた。
「・・・お前は潔癖なとこあるから・・・そういうの嫌いやろうけどな・・・オレはお前が助かるなら、なんでもするで。・・・お前に嫌われて・・・お前がもうオレと一緒におりたないとしても」
アイツは言い切った。
「嫌わんといて欲しいけど・・・しゃあないやん」
震える声が言った。
「二度と会うてくれへんなっても・・・しゃあないやん」
アイツが僕をだきしめた。
震えていた。
コイツ。
コイツ。
嫌われないこと位しか僕に望んでないと思っていた。
僕に好かれるとさえ思いもしないことは知っていた。
でもそれどころやなかった。
コイツは僕のためになら・・・僕に嫌われてもいいのだ。
コイツ。
コイツ。
何一つ望んでないんや。
本当に何一つ。
コイツは僕を思うのに、僕の気持ちなど必要としていなかった。
人を思うのに見返りなど何一つコイツには必要じゃなかった。
お前。
お前。
「嫌いになんかならん。絶対にならん・・・」
それだけを言った。
これだけしかまだ届かないから。
「怒ってしまうことがあっても・・・それは嫌いになったからやない」
分かって。
それだけでいいから分かって。
「・・・僕は絶対に大丈夫やから・・・僕を信じて?無茶
せんといてくれ・・・」
僕は懇願した
「・・・信じる?」
アイツが泣いた。
「信じて・・・僕を信じて・・・お前が信じてくれたら僕は絶対大丈夫やから・・・」
僕は強くアイツを抱きしめた。
二人でヨロヨロしながら抱き合って、家に入った。
アイツの部屋に行く。
僕は汚れた服だけはなんとか脱いだ。
もうついでにパンツも脱ぐ。
「お前・・・何考えて・・・死ぬやろ」
アイツが真っ赤になって言う。
あんだけ抱きつぶしてんのに、恥ずかしがるんが可愛い。
一回やってるとこ録画して、それを見せて泣かせてみよう。
絶対可愛い。
めちゃくちゃエロいアイツを逃げないようにしてみせてやりたい。
アイツがもじもじしているし、赤と黒がキーキー声でがなりたてているのを見て僕は笑った。
「いくら僕でもせんわ。・・・死んでまう。服汚れてるから・・・このまま布団にはいれんやろ。悪いけど、風呂まで蓉入れんのや。もう死にそうや。寝かせてくれ」
僕は言った。
「ほんなら布団持ってきてもらう・・・赤、布団・・・」
言いかけたアイツの腕をつかんで、アイツの布団に一緒に潜り込む。
「一緒に寝たい。寝るだけや。いつもやったらそんなこと絶対出来へんけどな・・・今の僕は世界一の紳士やで?勃てへんからな」
僕はアイツを腕の中に閉じ込めて笑った。
アイツは真っ赤になりながら大人しく僕に抱きしめられていた。
アイツのパジャマのボタンに手をかける。
「・・・そんな言うて、何してんねん・・・あかん、お前本当に死んじゃうやろ」
珍しくアイツが抵抗した。
「ちゃう。せん。でもお前の肌に触れて寝たいんや」
僕は言った。
コイツの肌を体温を感じてねむりたかった。
アイツは自分からパジャマを脱いだ。
抱きしめて首筋の匂いを嗅いだのは覚えている
滑らかで僕より体温の低い肌が僕の肌に触れた。
この肌は僕がアイツを感じさせる度に・・・熱くなる。
熱く汗ばんで・・・それが好き。
でもこうやって触れるだけでもそれが好きだと思った。
そっからは・・・抱きしめている大事な存在に胸が痛くなりながら・・・僕は気絶したのだった。
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