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猫殺し13

 「さあ、行こう」  白は言った。    白の巨大な翼が広がる。  強い風と共に白の身体が浮き上がって・・・ってなんやん!  僕は白の鈎爪で掴まれていた。  鷹や鷲が地上から獲物を掴むように。  フワリ  僕の身体が浮いた。  待て。  待て。  まさか!!  僕は白と一緒に空へ登っていた。  「止めろや!!止めろや!!僕は・・・高いとこはあかんのや!!」  僕は叫んだ。    白は全く気にしてくれない。  ぐんぐん地面が遠ざかっていく。  マジか。  マジか。  「見てみろ少年。夜明けだ。美しいぞ」  呑気に白が言った。  確かに、空の端から光が滲んでた。  だけど、だけど・・・。  「んなもんどうでもええわ!!下ろせ!!下ろせ!!」  僕は叫び続けた。  夜明けの空を僕は化け物に鷲掴みにされて飛んでいた。    僕は怖くてガチで泣いていた。  庭に降り立った瞬間に裸足で駆けてくる、細い身体。    まあ、降り立ったのは白で、僕は無様に転がっただけだけど。  「病院で輸血でもしてもらうんだな。二、三日はいくらお前でもマトモには動けないぞ」  白は言った。  「うるさい。こんなもんニラレバ食べたらすぐ治るわ」  僕は力の入らない身体でそれでも毒づいてみせた。  頬の涙を拭う。  今更やけど・・・泣いとったらカッコ悪いからな。  僕かてちょっとくらいは好きな子の前ではかっこつけたいんやで。  出来てないけど。  白は笑った。  そしてしゅるりと細い影になり、走ってきたアイツの影に解けていった。    アイツはヨロヨロと走っていた。  元々信じられない位に遅いのに、ちょっと走ったら呼吸困難で死にそうになんのに走っていた。  僕のせいで弱った身体で。  あかんはアホが。  僕は胸が締め付けられる。  「このアホが!!」  怒鳴られた。    コイツには歩く以上の機能がないため、ヒューヒュー言って吐きそうになっている。  「ド素人が半端に手ぇ出すんやない。・・・お前は分かってない、お前は何も分かって・・・」  そう言いかけて、僕の顔色に気づく。    そして、左手の火傷に。  「・・・お前、何したんや!!」    アイツは叫ぶ。  「白と契約した」  僕は正直に言った。  アイツは真っ青になった。    パシン  頬を平手打ちされた。  意外に痛かった。  「アホ!!何考えてねん!!」  アイツが怒鳴った。  いや、ここは・・・僕も怒るとこやで。  僕の血足りんくて良かったな。  勃たへんからな。  勃ってたら・・・僕お前をめちゃくちゃにしとるで。  僕はもう一発平手打ちしようとしたアイツの手首を簡単に掴んだ。  「アホはお前やろ。・・・お前が白を使う言う意味分かってんのか?それともまたチンポ吸うてほしいんか、白に。・・・アホが」  僕は低い声で言った。  あかん、また頭おかしくなってきた。  白の変形した頭部にアソコを覆われ、腰を動かしながら声を上げていたアイツを思い出したのだ。  頭に血上がるし、なんかしらんけど股間にも血が集まってきて、血液の足りない身体が意識なくなりそうや。  「・・・か、かまへん!!そんなん別にええ!!」  アイツは強く掴まれた手に痛そうに顔をしかめながらもそんなことを言いよった。  

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