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Ⅳ 俺はあなたを呼び捨てない⑤
「落ち着いたか」
「はい。ありがとうございます」
テレビ局の一角のソファーで缶コーヒーをすすっている。
「少し体を暖めろ」
「はい」
真川さんのくれたコーヒー、あたたかいけど味が分からない。
「ブラックは苦手だったか?」
「そうじゃないです」
顔をしかめていたのはコーヒーが苦いからじゃなくって。
「興奮させてすまなかった。まさか君が『雄』に反応するとは」
………………えっと?
「『雄』から『雄自身』。つまり、雄の性器を想像して興奮したのか」
ブフォオォォォー
コーヒーを吹き出した俺は悪くない。
神様、仏様。
(このαは)
すごく大きな勘違いをしています!
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