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Ⅳ 俺はあなたを呼び捨てない⑧

俺は悪くない。 絶対に俺は悪くない。 コーヒーを吹き出したのは、あなたが! (あ……) スーツ、ものすごい染みになっている…… 第一に、俺がコーヒーをぶっかけた。 第二に、俺がコーヒーを吹きこぼした。 第三に、俺が再びコーヒーを吹きこぼしたから。 第一については、俺の不注意である。 だが。 第二と第三については、俺は無実だ。 だって、あなたが。 「悪い事をしたら、なんと言うんだ?」 「ごめんなさい」 なんで謝ってるんだろう……俺…… (俺は悪くない!) でも、結果としてコーヒーをかけてしまったのは俺が悪い。 (うぅ……うぅっ) 頭の中がモヤモヤする。 「恥ずかしくないから。毎日オナニーしなさい。やり方が分からないなら、俺が教えてあげるから」 うぅ…… 大いなる誤解だ。 俺が息を荒くしたのは性的興奮ではなく、怒りだ。 それも、あなたに対する! (怒り……) ………………って★ 「なにやってるんですかァッ」 真川さんの手! 「なにって」 「その手!」 「ジッパーを下ろしているんだが」 「どうしてッ」 念のために言っておく。ここはトイレではない。テレビ局のロビーだ。 「今から君にオナニーのやり方を教えてやるためだが?」 「ナァァァァァーッ!!」 誰か!! この暴君αを止めてくれぇぇぇーッ♠

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