74 / 217

Ⅶ 《おまけ+》お食事中はお静かに【後編】

カリってカリ??? 「私のカリが分かるかい?」 「分かりません」 「………………」 「………………」 「私のカリが分かるかい?」 「分かりません」 「………………」 「………………」 「私のカリが」 「葛城さん」 「はい」 いい返事だ。 「『しっかり』の間違いですよね?」 「『カリ』だよ」 「『しっかり』ですよね?」 「『カリ』だ」 「………………」 「………………」 あなたは間違っているぞ。葛城さん。 倒れた人の安否確認は、太古の昔より『しっかり』だと相場が決まっているのだ。 『カリ』ではない。 つーか『カリ』関係ない。 「しっ」 「しっ」 俺の言葉の後に葛城さんが続く。 「か」 「か」 「り」 「り」 そうだ。いいぞ、その調子だ。 「しっかり」 「カリ」 なんで言えなくなるんだァァァーッ 「カレーをおしゃれに言った感じ」 「それは『カリー』」 「………………」 「明里君はカリーが食べたいのかい?今度、三谷君に言っておくよ。銀やの新メニューに加えてもらおう」 「………………」 別に食べたいから言ったんじゃない。 「私のカリからカリーは出ないよ」 「♠♠♠~」 そんなところから出したカリーは食べたくない♠!! 「顔色が良くなったね。安心したよ」 あなたが公衆の面前で恥ずかしい事言うから、顔を赤らめてるの! 葛城さんが、俺を心配してくれている事には違いない。 (でも、なぜ?) 葛城さんは突如、卑猥な言葉を言い出したんだろう。 優しくて思慮深い葛城さんの事。きっと何か、俺には図れない深い意図がある筈だ。 聞いていいかな? 「葛城さんはカリーライスがお好きなんですか」 「特に好物ではないが嫌いじゃないよ」 「………………」 「………………」 「………………」 「………………」 そこは好きだと言ってくれ。 「あぁ、ありますよね。急にカリーライスが食べたくなる日。お口がカリーライスになっちゃって~」 「………………」 「………………」 「………………」 「………………」 話の展開が強引すぎたか。 「あるね」 良かった。葛城さんが同意してくれた。 「今日はカリーライスの気分ですか?」 「カリの気分だよ」 話が『カリ』に戻ったァァァ~ッ♠ 「あの~。今日は俺、ちょっとカリーライスの気分じゃないかなぁ……」 「なにっ?」 しまった! 機嫌を損ねてしまった。 葛城さんは大事な取引先だぞ。 「当然だよ」 「えっ」 なに同意してるんだ?この人…… 「Ωの不調はカリーライスじゃ治らない。Ωの好物はカリだ」 「は♠」 「元気のないΩにはカリを食べさせると、たちまち興奮する。太古の昔より、我々αの内々で語り継がれている伝説があるよ!」 どんな伝説だァァァァーッ♠♠♠ 怒ってはいけない…… 怒っては…… (葛城さんは悪くない) 倒れた俺を心配してくれただけ。 唯一つ。 不運だったのは、葛城さんがα性だった事だ。 αは己が性器に傍若無人の自信を持っている。 「明里君」 「はい……」 「私の性器はカリ高巨根だ」 「ギャアアアアァァァァァー!!」 (あなたの秀麗な顔で) そんな淫猥な言葉…… (聞きたくなかったァァァーッ♠) 「そこォッ!ほかのお客様のご迷惑ですので、お食事中はお静かに!」 うぅっ、三谷君に怒られちゃったじゃないか。 「あぁ、三谷君。今度、銀やの新メニューに『くびれたっぷり♪カリーライス』を加えておくれ」 「それを言うなら」 「葛城さん」 「「『きのこたっぷり♪カリーライス』だろうがー!」でしょうがー!」 ブシュウゥゥゥゥー!! 俺と三谷君の二連プシューが、葛城さんにクリーンヒットした★ 「「湯気だして」寝とれ」寝ててください」 もしかして俺達、息ピッタリ★? 「やったね、三谷君」 三谷君とハイタッチ。 「……3倍してください」 「えっ?」 《おしまい♪》 本編はまだまだつづくよ

ともだちにシェアしよう!