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Ⅷ 君には渡さない⑭

「君ッ!」 頭上から声が飛んできた。 振り返る事もできず、頭から床に落ちる。 ……そう、覚悟した。 けれど…… 「大丈夫か?」 痛くない。 そして今度は下から声が聞こえた。 どこも痛くないって事は、誰かが俺を助けてくれた。 俺の下には体温がある。 だけど、なにか変だ。 なにか違和感がある。 「怪我は?」 「ありません」 この声の人が助けてくれたんだ。 「そうか。良かった。……痛ててて~」 下で声がうめいている。 ………★!! 俺、人の上に思いっきり乗っているー!! 床に落ちて痛くなかったのは、この人を下敷きにしたからだ。 「ごめんなさい!!」

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