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Ⅸ 君には渡さないpartⅡ ③

(………………言ってしまった★) その場しのぎの許嫁なのに。 分かってる。 俺も、真川さんも。 (なのにっ) 真川さんの顔がまともに見られない~★ 「ありがとう」 ふわりと声が降りてくる。 ぬくもりもいっしょに…… 「君に頼めるかな」 お皿を渡す手が、俺の手に触れた。 ようやく、あなたの体温に触れられた。 やっと俺、居場所を取り戻せたみたい。 「もしも一緒になったら、こんなふうに、小さな喧嘩をいつも繰り返すのかな」 「真川さん?なにか言いましたか?」 「なにも言ってない。あぁっ、トマトは入れるな」 もしかして、真川さん? 「トマト嫌いですか」 心なしか真川さんの頬がほんのり赤い。 こんな顔の真川さん、初めて見たかも。 「ダメですよ、好き嫌いは」 「嫌いだとは言ってない」 「じゃあ、食べられますよね」 真川さん、ちょっと涙目だ。 俺、いつも完璧な真川さんよりも優位に立ってる。ちょっぴり嬉しいかも♪ 「そんなに言うなら、まず君が食べろ」 「ふあわっ!」 摘まんだミニトマトが俺の口に放り込まれた。自分の指ごと! 俺ッ!真川さんの指食べちゃった★ 「顔、真っ赤だぞ?トマトよりも」 「はふははさぁ~」 うぅ、真川さんをいじめすぎた報いだ。 「何を言ってるのか分からないな。……ほら、ちゃんとモグモグ」 真川さんの指をモグモグ……舌でいっぱい舐めてしまう。 あ、俺を見下ろす瞳が揺らめいて口角が上がった。 やっぱり、あなたは意地悪だ。

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