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Ⅹ《おまけ+》【後編】小文字オー、大文字アイ、小文字オー

「あっ」  小さな悲鳴は、微かだけど確かな希望だった。 「見てください!」  俺が指差した先。  ピピッ……ピーピピッ  勧修寺先生が投げつけたリモコンが、小さな電子音を奏でている。  慌ててすくい上げた。  さっきまで真っ黒だった画面が発光している。 「これ」  画面が点滅し始めた。  アルファベットが画面に流れ出す。 「再起動ですね」  背後から勧修寺先生が手の中のリモコンを覗き込んだ。 「予期せぬ振動でプログラムを守るため、安全装置が作動したのでしょう。精密機械にはよくある事です」  予期せぬ振動を与えたのは、あなたです。  精密機械には絶対してはいけない事です。  勧修寺先生は危険だ。 (これは、俺達に残された唯一の希望)  神様が与えてくれたラストチャンス。  せっかく復活したリモコンを、また壊されてたまるか。  神様、仏様。  このリモコン、誰に託せばいいですか。  答えは言わずと知れている。 「真川さん」  ここは安全策だ。  真川さんに託して、確実に脱出する。 「暗号コードは何だと思いますか?」  ピピッピッ  再起動完了を知らせるベルの音と共に、リモコンを真川さんに手渡した。 「そうだな。ジャーナリストの経験から考察すると……これだ」  迷いのない指先がリモコンのキーボードを軽やかに滑る。  ピッピッピッ  プシュー!!  リモコンが白い煙を噴いた。 「真川さん!」  あなたッ 「なにを押したんですか!」 「小文字オー、大文字ティー、小文字オー」

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