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Ⅹ《おまけ+》【前編】oYo
…………フグじゃ……なかった…………
真川さんの真川さん自身…………
(真川さんのおパンツの中身は……)
「普通の真川さん自身……」
「普通じゃない。『巨根の真川さん自身』だ」
それ、分かったから。はぁぁ〜
心底がっかりしている俺の頭を、真川さんが撫でてくれる。
一方的な俺の勘違いだから、慰めの言葉の掛けようもないのだけど、それでも何かを伝えようとしてくれる真川さんは優しい。
そうだよね、アソコがフグなわけないよね。
フグだったら、大事な会議の時もスラックスの中で股間がピッチピチ跳ねて大変だ。気になって会議に集中できない……
なでなで
「勘違いは誰にでもある」
「すみません。αの方のα自身は特殊なのかと思ってしまって」
「フグが付いてるなんて言われたのは初めてだ。可愛い発想でいいと思うぞ」
……でも、俺29歳だ。思春期を過ぎて、ほかの人の股間を見た事がなかったから。そういう経験がないのって、恥ずかしい事だよね。
「俺、これからはちゃんと研究します!」
「いや、いい」
「でも!」
「そういうのはいいから」
「どうしてですか!」
せっかく人がやる気になってるのに。
「経験は積まなくていいんだ」
こんこん
優しい手が俺の頭を小突いた。
真川さん、ひどい。
俺だって……
「やればできる子だというところを見てください!」
「ヤるな」
「やります」
「ヤるな、と言っている。第一俺に寝とられ趣味はない。なぜ、君が他人と睦み合っている姿を眺めなくてはいけないんだ?」
もしかして、俺……
(すごく恥ずかしい事を真川さんに主張してないかー)
顔に血が昇る。
「ち、ちがいますっ。そういう意味じゃなくって」
「ヤりたいんだろう」
「やるっていうのは」
「複数でか。ふしだらな子だ」
「そうじゃなくって。研究です。ひとりで自室にこもって」
「オナニー?」
カァァァ~
俺、耳まで真っ赤だ。こんな顔、真川さんに見せられない。
「オナニー宣言だったのか。すまない。今度は俺の勘違いだったな」
違います。違うんです、真川さん!
(真川さんは勘違いしまくってます)
けれど今、違うと否定したら、話がまた振り出しに戻ってしまう。
違うんだけど答えられない。
固まっている俺を見て、真川さんが頭を撫でてくれる。
「オナニーは恥ずかしい事じゃない。溜まったものは外に出さないといけないからな。けれど、わざわざ俺に宣言しなくていい」
優しさが痛い。
髪を撫でるあなたの手に泣きそうになる。
「君がオナニー好きなのは気にしてないし、責める気もないから安心しなさい」
違うから!そうじゃないから!
フルフル……
耐えられず震える首を小さく振った姿に、ハッとして真川さんが息を飲んだ。
「すまない。そうか……」
ひどく切なげな双眸が俺を見つめた。
「上手くできないんだな」
…………………………えっ。
「一人じゃ上手くイケないから手伝ってほしくて、俺にあんな事を言ったのか。気づいてやれなくてごめんな」
ぽんぽん
包み込むように大きな手が頭に置かれた。
「俺がちゃんと、君をイカせてやるからな」
ギャアアァァァァー♠️♠️♠️
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