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第6話
ずぶずぶ、ぐちゃぐちゃと、音が聞こえる。そのたびに身体に衝撃が走る。触手が動いている。俺の孔の中で暴れている。
気持ちいい、キモチイイ、気持ちいい。
触手を口に含んで吸い上げて舐めまわす。口の中に触手の体液が吐き出されて飲み込む。
気持ちいい、キモチイイ、気持ちいい。
触手が身体中這いまわって、俺を犯して、気持ちいい。
ア、ア、ア――。
甲高い声が出る。俺の精液も出る。
気持ちよくて、もっと、と叫んだ。
なのに、ぞわ、と気持ち悪さがこみ上げる。
夢の中、見渡す。触手しかいない。俺を犯す触手しかいない。
なのに、怪物が俺を見ている気がする。
俺の孔を出入りする感触。ずぶずぶ、ずぶずぶと、ぐちゃぐちゃ、ぐちゃぐちゃ、熱くて硬いものが俺を犯している。
気持ち――悪い。
う、う、う。いない、怪物なんていない。いない、いない。いないのに、怪物に見られている気がする。いない、いない。
いない、――は、いない。
うあ、あ。気持ち悪い。
いない、怪物はいない。大丈夫。――は、いない。
いるのは、ほら、いるのは。いつも通り。ずぶずぶ、ぐちゃぐちゃと俺を犯すものだけだ。
『――ッ、あ、あ、……おとうさん』
気持ち悪くて、叫んだ。
同時に、ぴたり、と全部が止まった。
止まった。
***
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