14 / 14
第14話
一気に書きました。長いですけど話しはまだ続きます。
うーんと思って寝返りをうった。
「痛い、朔弥」
あれれ?
と目を開ければ凛々しい朱雀様の顔が。
「おはよう、朔弥は朝弱いんだ。ぽけーとしてて年齢よりも幼く見える」
「朱雀様?あーそっか」
「ん?そっかって何が?」
「そっかと言われましても、昨日私と朱雀様はヤったのかと思いまして」
「朔弥さん?そこはもっとオブラートに包んで言って欲しいななんて」
それよりも私はパジャマを着ている。
しかも自分のをだ。
羽毛布団をぺろっとめくった。
朱雀様もパジャマを着ている。
「朱雀様?どうして私はパジャマを着て昨日居たこの部屋で寝てたのですか」
「朔弥は俺の番いなんだから呼び捨てで良いてって」
それはそうですけど朱雀様は私の仕える主人ですし。
番いなら関係無いのか、朱雀様はむくれてる。
様とは付けない方が良い感じがする。
「では改めてまして朱雀、どうして私達はソファーではなく床にマットレスをひいて寝てたのですか?あと事後処理までさせてしまいまして申し訳ないです」
「朔弥」
「はい」
「慎重に聞いて欲しい」
朱雀がマジな顔をしている。これは相当心して聞かなくてはならないですね。
「オヤジとかーさんに俺たちの関係って言うか、屋敷の皆にバレてる」
はい?それは私と朱雀がヤって番いになったと屋敷の皆が知っている。
屋敷の
皆が
「ほわーーーーーー」
私は布団にもぐった。
ああ屋敷の皆が知っているなんてお父様や父さんにどんな顔をして会ったら良いのか。
いいや、それよりも旦那様や奥様にどう言えば。
頭の中がぐるぐるして何も考えられない。
「大丈夫だって朔弥」
布団の中で朱雀に抱きしめられた。
なんだかほっとしている自分に驚いた。
「朔弥と寝た後に部屋の扉に手紙が刺さってたんだ。かーさんからで何だかんだ皆俺と朔弥が引っ付かないかずっと待ってたらしい」
な ん で す と!
奥様どう言う意味ですか。何私達の関係、番いである事を知っていた?
でもどうやって?
「まず始めにおはようの口づけな」
そう言って朱雀は私の口にそっと触れた。
なんだかむずむずする。
「そしてかーさんからの手紙に廊下に布団とウエットティッシュにパジャマを用意したって、そして俺が産まれた時からずっと朔弥にべったりで、朔弥自身も俺と居る時は何だか雰囲気が違っていた事。知らなかったでしょ朔弥」
奥様すみません。本当にすみませんこんな事になりまして。布団まで用意して下さって。
お父様、父さん、私はこの部屋から出たく無いです。どういった顔で会えば良いのか分かりません。
「朱雀、私はこの先ずっとこの部屋から出たくありません。いや、通帳と印鑑と身分証明書を持って屋敷を出て1人で暮らす方が」
「ダメだ!朔弥は俺の番いだ。絶対に結婚する、俺はかーさんに言われる前からずっと朔弥の事が好きだ。今もその気持ちは変わらない」
熱烈な告白有難う御座います。でも私はこの先どうなるか怖くて、心配で胸が痛い。
こんな私で良いのでしょうか?
「こっこんな私で良いのでしょうか?研究室でひたすら実験とかレポートばかりやってて、何の面白味も無い私で良いのですか?今ならまだ間に合います。朱雀は可愛らしいアルファの女性とっつ」
また朱雀に口を塞がれた。しかもディープなやつ。
「あっはぁ、ふっんん」
声が止まらない。目を開けて見たら朱雀は泣いてた。ああ混乱してまた私は間違えた事を言ってしまったのかとされるがままに。
「朔弥は俺の事嫌い?だから身を引く様なことばっか言ってんの」
「すみません。私はこんな気持ち初めてで、番いが見つかるとは思って無くて、でもお父様と父さんに子供ができて、あーどうしてでしょう。キャパが越えてしまってどうしたら良いのか」
朱雀が私の頰を袖で拭う。
それで私も涙が出ていたのかとわかった。
「それなら2人で考えたら良い。まず朔弥は俺の事をどう思ってる?詳しく教えて欲しい」
また朱雀は私をぎゅっと抱きしめた。
答えないといけない。どう思っているのか、そしてどうなりたいのか。
「朱雀に言われてようやく気がつきました。私も朱雀の事が好きです。ずっと近くに居るのが当たり前で分かってませんでした」
「そっか、それで?」
しどろもどろになってる私にゆっくりと答えを待つ朱雀。これではこっちが子供ですね。
「番いになって嬉しいと感じました。でも私はその先が怖いのです。実の親に捨てられて人形みたいに1日のルーチンワークをこなしてる私は。
正直つまらない人形だなって思うのです。
人に評価されて良い判定をいただいて、それで安心するとか変じゃないですか」
声が震えた。
朱雀を失望させている。
だから他の方と一緒になった方が良いなんて残酷な事を言って。
「俺はそうとは思わない」
えっ?と私は顔を上げた。
「朔弥はのんびり屋で、よく見てると表情だって変化してる。翡翠さん達と話してるの楽しそうだし、かーさんにいじられてあたふたしてて可愛いし、頭良いから新薬を発表したり、凄いなって俺思う」
「そんなんじゃ無いです」
「朔弥は自分の評価低すぎ、控えめすぎ、もっとワガママ言って良いんだ」
ワガママ。もしそれが許されるのならば。
「私は朱雀と結婚したいです。家族になって子供も欲しいです。ずっと朱雀のそばに居たいです」
「んもーようやく言った。そんなの当然だって。俺も朔弥との子が欲しいし。だからさ」
朱雀が私の指を絡めて、ほらっと言って布団から手を出した。
「俺と家族になろっ!」
そう貴方が笑うから、私もつられて。
「はい」
と返事をしました。
心の奥底にあったドス黒いものがすっと消えて無くなるのが分かりました。
私はなんて幸運なのでしょうか?
そう私の方から朱雀に口づけをしました。
ともだちにシェアしよう!