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第1話
「朔弥は良い子でしょう?だからママが戻って来るまでこのお家の前で待ってるのよ」
母さんが知らない大きなお家の門の手前にある木の前でそう言った。彼女の肩には大きなボストンバックが抱えられていた。
「妹は一緒に待たないの?僕だけがここに居るの?」
お母さんに手を握っていた僕より小さな妹は何か分からないままって感じ。でも母さんの迷惑になったらいけないって思って母さんが何か言う前に僕は言った。
「母さんの言う通り僕はここで待ってるよ。だから早く帰って来て」
「ええ考えておくわ」
そう言って無理矢理妹の手を連れて足早にこの場を去った。
そして僕はーーー
ピピピピッピピピピッ!
ガバっと勢いよく起き上がり慣れた手つきで置き時計のアラームを消した。
カーテンを見れば明るい陽射しが部屋中に広がっていた。
「夢見が悪い」
頭をクシャっと掴んでため息をついた。
さあ朝の仕事の始まりだ。
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