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第1話 - ①
鬼上司
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晴れやかな午後
窓の外は雲一つない晴天が広がり、まさに行楽日和……
とは行かず
俺はパソコンとにらめっこ中
営業データの入力をひたすら打ち込んでいるそれが案外単調で、昼時の腹の満たされ様と重なりまぶたが段々重くなり始めた、その時
「ぁあ?もう一度言えッ」
ドスの聞いた声と机をぶっ叩いた衝撃音がオフィスに響き渡った
「お前…何度言えば分かるんだ!推進率の数字が違うって言ってんのが分かんねぇのか?ったく、めちゃくちゃなの載せやがって。
おい、どうやって出したか説明してみろ」
「あ、…あの、きょ去年のウチの支店の売上数値を参考に…」
「それだけか?」
「え?」
「それだけしか参考にしてねぇのかって聞いてんだ!」
「あ、は、はいッ!!」
「ちっ、……分かった。一からやり直せ」
「一から…ですか?」
「当たり前だろうがっ!こんなの参考になるか!去年の1月から12月、全支店で売り上げた数字を洗いざらい叩き出せ!ああ、それから数値が上がったところはその要因も調べとけよ。
今後の動向とプランを…そうだな、お前の強みとなる商品をピックアップして説明してみろ。10分以内にまとめた物を明日までにだ!」
「え、ぇえ!?明日までッ!待って下さい、いくらなんでも時間が無」
「なんか文句あるのか?」
「いいぃい、いいえ!」
青ざめた同僚が足早に自分の席に戻り始める
それと同時に
こ、恐ぇえ…
おい、鬼に聞こえるぞ!
お前もアイツの二の舞は御免だろ?
うわ~、鬼課長めちゃくちゃキレてんぞ…
今、近付かないほうがいいな
そんな呟き声と小さい悲鳴が周りから上がる
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