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⑤
「重いぃいッ!!」
なんでこの人無駄にデカイんだ?
確か俺より10歳以上、年上のはず。
なのにこうやって課長を運ぶ為とはいえ、隣で支えると良く解る
俺より背が頭一つデカイ
しかも鍛えてるのか分からないが、筋肉質でガッチリしている
その体格にドスの効いた声
眼つきは悪い
口も悪い
どこから見ても『鬼』そのもの
でも…
「今は、ただの酔っ払い、じゃ、ねーかッ!
荒木ッ、課長ここ俺ん家ですから、重てッ」
「しゃ、写真…」
「ネズミいねぇし、撮れねーよッつーか、早く入って下さい!」
やっとこさ千鳥足の課長を押し込むように部屋に入れてグッタリした
(もう、こりごりだ)
でも、それだけじゃ終わらず
「あ゛ーーーッ!ちょっ課長、靴っなに土足で入って、だーーっ床で寝ないで下さいッ。スーツ皺になりますから」
「面倒くさ…別にいー」
「いくねーよ、俺が気になるんだって!」
床で寝転ぶ荒木課長を見てヒィ!と悲鳴を上げそうになった
スーツをばっちり来た状態のうえ、ネクタイしたまんまで大の字の態勢
家まで提供したんだからとそのまんま寝かせておく事も出来るけど
性格上、俺が嫌だ
「ネクタイ外しますよ…ほらっ、課長脱がせるんで手上げて下さいよ。バンザーイってほら手…」
「久子…?」
(誰だ?)
ワイシャツのボタンを外し、次はスーツとばかりに課長の腕を取ったらば、今までボーとしていた課長の目が大きく見開いた
と、首にスルリと回されたゴツい手
「え?ちょちょちょ」
「久子、帰えって…」
思い出した
確か課長の奥さん
いや、正確には元奥さんの名前が久子…そんな名前だったよーな
と、思考が中断した
床に寝そべる課長にグイッと力強く引き寄せられた後は
「なっ、荒木か、ん?…んんっ?」
息苦しさが待っていた
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