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第3話

窓から差し込む光に照らされた柚木の姿は儚く見えた。  表情は絶妙な光と影で慈愛に満ちていて、髪は光に透き通るくらい光る亜麻色。まるで、人間の姿を借りた何者かであるように瞬きと共に、消えて去ってしまいそうだった。  この腕さえ折れていなければ、この足さえ動けば陣内は思った。  この気持ちが愛情だとはまだ、確信できない。  ただ、それが何だと言うのだろう。  今、目の前にいる、友人であり、友人以上の男を抱きしめたいと思った。 「何?」  と、柚木は陣内の呼びかけに陣内の手が届く場所まで来てくれる。 「今でも俺のこと、好きか?」 と陣内は優しい声で言った。自分でもその優しさに驚く。 「ジン?」  陣内は折れていない方の手で、柚木の指に触れる。  触れた指は逢坂よりは大きくはなかったが、整っていて僅かに暖かかった。 「うん、高校生の頃から今まで好きだよ」 それは今から4年も前のことで、陣内と柚木はまだ高校生だった。

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