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第54話

俺の言葉を聞いた樹の眉間に凶悪なくらい皺が寄る。  樹は俺の中から指を引き抜くと、あっという間に自分の衣服を脱ぎ去り、硬くなった屹立を俺の濡れた後口にひたりとあてた。 「樹」  ぐっと樹が腰を進める。 「あああ、イイ。駄目。あ、中、熱っ、ああんっ」 「くっ。こうなるの分かってたけど、カッコ悪ぃ」  樹は俺に突っこんだ瞬間、果てた。  中を濡らされる感触に俺も釣られてイってしまう。  樹が宥めるように俺の太ももを撫でる。 「真。俺があほみたいに早漏になるくらい、お前の中ちゃんと気持ちいいよ。それから初めてじゃないって謝るなんてこと、二度とするな」  樹の言葉に俺は涙目で何度も頷いた。 「うん。樹、ごめんね。ありがとう」  樹は俺の零した涙を全て己の唇で吸い取ると、目元を赤らめた。 「ごめん。全然収まんない」  樹が眉を下げる。 「樹、さっき俺の言ったこと覚えてる?」 「えっ?」  俺は樹の耳に唇を寄せた。 「激しくして」  樹の目が欲望でぬらりと鈍く光るのが分かった。  それを見た俺の背が快感で震える。  樹は俺の両腿を強く掴むと、股を開かせ、そこに自分の腰を収めた。 「あ、そこ、イッ」  いきなり奥まで突き入れられ、目の前に星が飛ぶ。  ガツガツと腰を振られ、俺は口を半開きにして喘いだ。 「いっ、いい。イク、イってるから、ダメ。あん、またイって、あんっ、イイっ」  樹の屹立で中を擦りたてられる快感だけで、俺は白濁をださずに何度もイってしまった。  こんな暴力的なほどの快楽など知らない。最初のヒートの時と全く違う。  酷くされているのにもっと欲しくなる。  信頼した相手とのセックスってこんなに気持ちいいんだ。  俺は泣きながら笑っていた。 「くっ」  また樹が中に大量の白濁をびゅるりと吐いた。 「あああっ。気持ちイイ。ダメ、や、ああ、んっ」  樹が俺の唇をキスで塞ぎながら、また腰を動かし始める。  俺はキスを返しながら、目を見開いた。 「嘘だろ。イッたばっかなのに」 「だからお前が妊娠中はできなかったんだよ。俺、真のこと壊すかもしれないって本気で思ってた」

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