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第56話
久々にきた俺のヒートは強烈だった。樹と番になったせいもあるかもしれない。
樹と片時も離れたくない。
むしろ樹の屹立を俺の体にずっと埋めていて欲しいと俺は懇願した。
「あっ、こら。真。腰動かしてないで、ちゃんと飯を食え」
「だって、あっ、樹っ、欲しい」
俺は背面座位で樹に犯されていた。
目の前には父さんの作ってくれた海老とブロッコリーのサンドイッチが乗った皿がベッドの上に置かれている。
樹が俺の口元にサンドイッチを持ってくる。俺は首を横に振った。
「ちゃんと食べないと抜くぞ」
樹が俺の腰を持ち上げようとする。
「やっ。ちゃんと食べるから離れないで」
「分かったから、ほらあーん」
唯希と話しているような口調で樹は言う。
俺が口を大きく開けると、そこに樹がサンドイッチを放りこんだ。
「ったく、二階にトイレと風呂があって本当に良かったぜ。こんなお前、流石に唯人さんと和希さんであっても見せらんねえ」
ぶつぶつと零す樹がふいに俺を抱きしめた。
「まあ、二人以外の誰にだって見せたくねえけど」
樹の言葉は俺の頭の中を素通りしていく。
俺はソースのついた樹の指先に吸いついた。
樹がもう片方の手で、良い子だという風に俺の頭を撫でる。
樹ににっこりと笑いかけると、樹がサンドイッチの隣に置いてあったスープマグを持ち上げる。
「ほら、これも飲んで。熱いぞ」
世話を焼かれながら、俺は中の樹がまた一回り大きくなったのを感じ、うっとりと吐息を零した。
ようやく少し落ち着いた俺がベッドヘッドに持たれていると、樹がサイドテーブルに置いてあったカプセルシートを手に取った。
「これ、アフターピル。飲んでおいて。
覚えていないだろうけど昨日とおとといは俺が飲ませたから、妊娠の心配はしなくていい」
水のペットボトルを開けながら、樹が言う。
俺は呆然と掌に乗ったカプセルを見つめた。
「樹。樹は俺との子供が欲しくないのか?」
「当たり前だろ」
樹がきょとんとした顔でこちらを見る。
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