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第17話

「お疲れっしたー!さんきゅーな!」 「お疲れ様でしたー。一ノ瀬さん!」 「おう。どうしたー?」 「俺秋葉原で遊んでから家に帰りたい。」 「……あぁ。わかった。明日は収録あるからな。下手してもハメはずしすぎねぇよーにな。」 「わかった。ありがと。」 「なにがあったか、なんて野暮なこと聞かねーけどそんな顔すんな。さっさと遊びに行け」 俺のマネが一ノ瀬でよかった。 さて、どこ行こう。 新しい服が欲しかったんだ。どこ行ったら買えるのかな。 カフェに行っておいしいコーヒーを飲もう。 僕が好きなパスタも食べに行こう。 面白い本もあったら欲しいな。 可愛い子いるかな。 あぁ、こんなに開放的なのはいつぶりだろう。いい歳でこんな気持ちになって何かに打ちのめされそうになるのがとても怖い。 僕はきっと芸能人には向いてなかったんだな。 あ、この服この前見た雑誌に載ってたなー。買いたい。 まあいいや、今は心の赴くままにいよう。 外暗くなってきたなー。そろそろ帰ろー。 カフェでゆっくりしていた時突然、 「あ、◯×の主人公だ!ねぇ握手して!!」 少年に話しかけられて驚いた。でも間違いなく僕のことだ。自信持って言える。 「うん!見てくれてありがとう!喜んで!」 ファンがいることに胸が踊った。 いつだってファンが応援してくれてるじゃん。なにも心配いらなかった。 あの子が証明してくれた。ありがとな。 さて帰るか。 ちょっと待って俺方向音痴だったよな!? カッコつけたじゃん!!今!頑張ろうって思った矢先にこれだよー。 もういいや。もうちょっと飲んでからタクシー呼んで帰ろ。 七彩を見送り、車に乗って発進した時に七彩のマネ、一ノ瀬は思い出した。 七彩が地図ありでも道に迷うほどの重度の方向音痴だったことを。 「俺、知らね。」

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