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「無理じゃない」
いつも快斗はオレを甘やかしてきたけれど、
甘やかすって、全部分かっていないと出来ない。
オレの思考パターン、全て分かった上で、一番言って欲しい事を言ってくれて、言って欲しくない事は、言わない。
快斗は、いつも、そうやって、オレを、甘やかしてきてくれた。
思ってる事が全部バレてても、それを受け入れてくれる。
そういう所、大好きだった、けど――――……。
こういう時、すべての逃げ道を潰されるのは……本当に困る、気がする。
「……快斗、あの――――……」
オレが頑張って、何かを言おうとした時。
「答えは今は要らないから」
咄嗟に遮られて、硬直。
「――――……快斗?」
「今聞いたばかりで少し考えての答えは、オレ、求めてない」
「――――……」
「今回、離れられてちょうど良いのかも。オレが居ない状態で、考えてくれる?」
「――――……」
快斗が、居ない状態で……。
「今までみたいにべったり一緒な時に告白して、なし崩し的なのは嫌だったんだけど……これから嫌でも離れて、一緒に居ない生活が始まるだろ?」
「……うん」
「オレと離れた状態で、オレの事どう思うか、考えてくれる?」
「――――……」
「答えてくれるまでは、オレ、何年でも待つつもり。たださ、今の時点で、生理的に絶対無理だと思うなら、それは今言って」
「――――……生理的に無理?」
「今聞いてさ、もう嫌悪感しか無くて絶対無理だって言うなら、それは考えても無駄だと思うから――――……そこだけ、今、答えてくれる?」
……そう言われて。
もう、頭の中は、いろんな事が ぐるぐるまわりまくっていたけれど。
「絶対無理、じゃない……」
嫌悪とかは、無い。だから、そう答えると、快斗は、ふ、と笑った。
「――――……じゃあ考えて。オッケイでも無理でも、答えが出るまでは オレ、ずっと待ってるから」
「……」
「その間、愁は自由でいいよ。オレに気を使わなくていいし。女の子とかも普通に見てくれていいし、他に好きな子が出来るなら、しょうがないし。ただ、オレとの事も考えて? それで、答えが出たら、言って」
「――――…わか、た」
そんな突然の告白で、快斗はオレを、大混乱させたまま。
笑顔で、出発していってしまった。
快斗が、オレに、告白したのは、もう、4か月も前のこと。
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