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「いつから?」

「……なあ、愁」  少しだけ。快斗の口調が変わった。  まっすぐに、快斗を見つめると。 真面目な顔をして、ゆっくりした口調で話し始める。 「ほんとに何年でも待つけど。 もし万一、受け入れてくれるつもりになったらさ――――……そこで もう1回、よく考えて」 「――――……?」 「その先ずっとオレと付き合ってもいいなって思えたらOKして。そう思えないなら――――……断っていいから」 「――――……」 「……覚えといて?」  分かってる。 適当に、頷くなんて、出来ない。  オレだって、ずっと居る覚悟ができなかったら、OKなんて出来ない。 「それくらいの覚悟ができたらっていう、話だからな?」 「うん。分かった」  うん、分かる。  友達としても大事な奴と、そんな関係に踏み切るのは。  失いたくないからこそ。  相当の覚悟が、いると、思うし……。  見つめながら頷くと。  快斗は、ふ、と目を細めて、笑った。 「――――……愁、大好きだよ」  まっすぐ言われた好きという言葉に、何も返せず、固まるしかない。 「――――……オレ、ほんとに、お前が好き」  大好きな瞳が、ほんとに優しく、笑う。  なんか、少し、胸が痛い。 「……あの……」 「ん?」 「……いつからオレの事、そういう意味で、好きなの??」 「あ、やっと聞いた」  快斗は可笑しそうに言って、クスクス笑いだした。 「え?」 「お前、そういうの何にも聞かねーんだもん。 不思議じゃないのかなーって、逆に不思議だった」 「……聞いていいのかわかんなくて」 「何でも聞いていいのに」  笑う快斗。 「ずーっと愁が一番好きで生きてきたけど。少し意識したのは、小5くらい。でもそん時はよく分かんなかった。男同士だし。そのまま分かんないまま進んで、中学で女の子と付き合ってみたけど……」 「……けど?」 「――――……まあ、付き合ってる内に、思い知ったっていうか」 「思い知った?」 「……んー……」 「……何?」 「……んー……どうしても、聞きたい?」 「ん、聞きたい」 「……女の子とキスしたり……そういう事してる時に、愁の顔が浮かぶからさ。あー、これは、もうやばいな、って思い知った」 「……はっ????!」  ボっ!  顔に、血が一気に集まった。 「なななななに、言ってんの、快斗、ばばばばかなの?」  快斗は、クッと笑いだして。テーブルに、突っ伏してしまった。  そのまま、揺れてるので、笑ってるのが分かる。 「…はー……息できね……」  まだ笑ってる。  まだこっちは、のぼった血が、全く引かないでいるというのに。    顔を上げた快斗は、やっと笑いを納めて。 「……愁、ほんと、可愛いね」  言いながら、伸びてきた手が急に、ぴと、と頬に触れた。 「――――……っ」  また、血が上って。  ドキドキがすごい。 「――――……愁は、そういうの、考えねーの?」 「……」 「やらしい事とか」 「……っ……」  細められた目が、なんか、あやしい。  ドキドキが激しすぎて、倒れそう。

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