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◇一緒に居たい理由*拓哉1/2

 多分、あの日一目惚れされて、そのままオレの事を好きなんだろうなとは、思ってた。  でも、そんな関係に進みたいと思っているようには見えなかった。  もとは女が好きな普通の男なのも分かっていたし。  オレ自身も、何でか最初から可愛いと思ってはいたけど、  本当に男とそんな関係に進めるとは思っていなかった。  ただ、そうはいっても、日々まっすぐに「大好き視線」を向けられていると、可愛くて仕方ない感情がどんどん増していくのは確かで、少し困っていた。  新人社員研修は基本的にすべての課題を、最初に決められたグループでやったので、同じグループだった織田とは、朝から終業時間まで常に一緒になった。  席が隣なので、グループの中でも、特にやりとりが多い。  2人組で作業時は、いつも、一緒。  織田は、プログラムは完全に初心者。  ちょっと難解なのが出てくると、唸り始める。  でも一生懸命考える。頭は悪くない。質問は的確。どんどん覚えていく。  分からない事は素直に質問して、素直に受けとめて、まっすぐ考える。  ありがとう、という回数が多い。  いつの間にやら、周りと仲良くなってる。  同期だけでなく、教えてくれる先輩や、怖そうな上司も、例外なく。  顔は――――……可愛い、と思う。  女からみたら、カッコイイというんだろうけど。  素直そうなでっかい瞳に、気持ちが全部のっかってくるみたいな感じ。  嘘は、つけなそう。  背は普通。体形も普通……細めかな。ウエスト周りも細い。  スーツ、最初はカチコチに着てたけど、だんだん生き生きしてきたら、似合ってきて。  ――――……とにかく、笑顔が、最強なんだと思う。  ネガティブな事はほとんど言わないし、たまに泣き言を言い出しても、根が明るいからかさらっと流れて。  他人からネガティブ発言が出ても、なんだかんだで、うまく前に向かわせる、というか。  そういうのを意図せず、自然とやってるのは、かなりすごいと思う。  1日中、頭が痛くなりそうな詰め込み研修を受けてる中で、あれだけキラキラ笑顔を保って、場を和ませるのは――――……ほんと、すごい。  うちのグループはやたらスムーズで、何をやるにも優秀扱いをされた。  それを、織田は、「高瀬がいてくれるからだ」とずっと言っていたけれど。  ――――……「織田が居るから」な気がしていた。  嫌々だった新入社員挨拶から始まり、長い研修も。  思っていたよりもずっと、楽しくて。   キラキラと期待のこもった眼差しで見られてると、やらなければいけない気がしてすごく身が入り。  おかげで、研修で行われる毎朝のテストの成績も、ダントツで。  オレ的には、間違いなく「織田のおかげ」て、超優秀の判定をもらい続けた。  

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